ポンコツは知らない ページ6
今年の第一試験会場はザバン市の地下道。私は先着18番目だった。…ちょっと早く来すぎてしまったようだ。こんなことならさっき行った喫茶店でオムライスも食べておくべきだった。隅の方に腰を落として床をぼーっと眺め続けておよそ10分経った。だけど体感時間は20分くらい。退屈なのが一番ツラい………
トンパ「やぁ、お嬢ちゃん。試験は初めてかい？」
眺めていた床に影が乗しかかる。ちょうど退屈していたんだ、面白い話ができれば良いな。
「はい、初めてなんです。貴方は何回目ですか？」
トンパ「そうかいそうかい、俺は35回も受けてるベテランさ、何でも聞いてくれよ！」
ゲームでいう村の長老みたいな感じか。ちょっとポンコツそうだけど。
「へぇ〜すごいですね」
顔を挙げてみると、やっぱりポンコツそうな顔をしたおじさんだった。けど、この人私よりプレートの番号の数が若いじゃないか……
トンパ「俺はトンパ！よろしくな！」
「Aです、よろしく」
こういう時、自分から名前を教えるやつはだいたいよからぬことを考えている。ちなみに私も含む。
トンパ「よーし、わからないことがあったら何でも聞いてくれよ！」
優しい人だな。
「ありがとうございます、うーん…じゃあ、あの44番は何者？」
ひときわ目立つオーラ。念能力の習得はもちろん、強そうだな〜〜ハンター試験ってあんなのもいるのか〜と、思っていたところだ。
トンパ「あぁ、あいつはヒソカ。去年、合格確実と言われながら試験官を半殺しにして失格になったやつさ。試験官の他にも、20人の受験者が再起不能にされているから、あいつには近寄らないほうがいーぜ」
「へぇ…」
大胆なのは見た目だけじゃなさそうだ。
トンパ「おっと、そうだ。お近づきの印だ。乾杯しよう」
そう言い、鞄から出された缶ジュース。
「ありがとうございます」
一言二言会話を交わせただけでいきなり乾杯しようなんて、おもしろすぎるな。危うくお腹を抱えて笑いそうになった。
トンパ「かんぱーい！」
「あははっ、乾杯」
トンパさんは見せつけるように缶ジュースをグビグビと飲み干す。
「トンパさん、これは何をつかったジュースなの？」
トンパ「へっ、あ、えーっと、フルーツだよ！」
「りんごは入ってる？」
トンパ「あぁ、多分」
「ごめんね、飲めないや」
缶ジュースに何も入っていなければ、良かったのに。少し落ち込む私の気持ちなんか知らずに、トンパさんは人混みに紛れていった。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
