【ヒロアカ】やべぇ転生しちまった (ページ6)

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強個性ページ6

なるほど、私が言葉を発したことがきっかけではなく、『ヒーロー』という単語に反応したようだった。
私は母親を落ち着かせるように優しい声色で言う。

「うん、まぁそうなんだけどさ、でも私の個性でもヒーローになれるのかなって。考えちゃうこともあって。」

Aはまだ中学生だ。それぐらい夢を持っていてもおかしくないだろう。不自然では無いはずだ。しかし母親はこの話題でも過剰に反応した。

「あなたの個性は私のを引き継いだせいで弱いのよ！あなたもわかってるでしょ？わたしのはそよ風を吹かすことぐらしいかできないの！その質問は私への当てつけ？それともあなたまで父親の個性が良かったなんて言わないわよね？」

強い言葉、強い声だった。今の言葉で大体理解することが出来た。私の個性はそよ風程度の風を吹かすこと。確かにそんな個性だったらヒーローになることは出来ないな。そして母親は、自分の個性に劣等感を持っている。それとは対照的に、父親の個性は強個性で、「あなたまで父親の個性が良かったなんて言わないわよね」という発言から、私以外に子供がいる可能性がある。

この時点で母親の精神は撹乱しており、仕切りに爪を噛んだり、頭を掻きむしったりと、普段のわたしであったら心理学を勉強している身分のため、ここで話題を止めなければならない。しかし、この世界で生きていくならまだ知っておかなければならないことがある。

まだ私は母親に仕掛けた。

「でもお父さんの個性はやっぱり強いよね。」

それが引き金になったのだろうか。
母親は発狂し、机上にあった全てのものを床に叩きつけ始めた。それだけだったら予想の範疇だったが、ここからが驚くべきことだった。

部屋中の家具が浮かび上がり、暖炉の火は燃え盛り、部屋中に突風が吹いたのだ。
その風は母親を中心にするように渦を巻いていた。
そして確実に私の頬を撫でる風だけ以上に攻撃的で、殺意を感じられた。

風の中心にいる母親はブツブツとなにかを話しており、部屋の外で待機していた家政婦が呆然と部屋を見ていることから、これは頻繁に起こっている現象でないことを察する。

私は小さく息を吸って突風に負けないぐらいの声で母親に言った。

「大丈夫だよお母さん、私はちゃんと就職してお母さんを楽にさせてあげるから」

私は最後に優しく微笑み母親を見つめた。母親は驚いたようにこちらを見て、個性の発動を辞めた。