裏切りの代償Ⅱ (ページ47)

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行ってきます→意味深な言葉ページ47

釜の中は空だから智の分は後で炊き直す事にした

ご飯を食べ終えた後、用事をしているとあっという間に家を出る時間になっていた

彼にメモを残し、リビングを出て玄関に向かう

「やっば…。
智、まだ寝てるかな？」

通り道にある寝室を恐る恐る覗くと彼が煙草を吸っていた

「よし…今のうちに…。」

音を立てない様に静かに歩いて静かに家を出た

ドアを閉めて、ドア越しに「行ってきます。」と呟く

このままエレベーターに乗って…

上手く行けば空いてる各駅停車の電車に…

でも今日は運が悪いようで…

1階下でエレベーターが止まった

？「どうも。」

「……ニノ！？」

深くキャップを被り、よく白黒(たまにカラー)で見るアイドルとは思えない服を着た彼がそこに居た

和「おはよう御座います。
昨日はすいませんでした。」

「おっおはよう御座います…。
昨日ならニノが謝る事じゃないよ。
だってファンの皆の為にリハしてたんでしょ？」

和「そりゃそうですけど…。
でも、ちゃんと謝りたくて…。」

「何でそこまで…。
ひょっとして………腰？」

和「まぁ…。
昨日はなかなか治まんなくて…。
今日やっと少し…(「座ってたら？
立つの辛いでしょ？」

リュックに入っていた大きめのフェイスタオルを角に置く

彼をその上に乗せると下に着くまで、ひたすら彼の腰を擦った

今日は運が悪いだなんて撤回！！

エレベーターは運良くニノの階から下で止まる事はなく、そのまま1階に到着した

この様子を普通の人に見られたらどんな噂が立つか分かったもんじゃないから…

「あっ…ニノ…。
今日は収録だっけ？」

和「そうです。」

「あの番組ってずっと立ってる事もあるよね。
立ってて辛くない？」

和「大丈夫ですよ。
仕事に穴開ける訳にはいきませんから…。
それに…今日は貴方に会えたから頑張れる気がします。
じゃあ俺はここで。」

「えっ…？
ニノ、それはどういう…。」

彼は私の言葉を聞かないまま、そそくさとマネージャーが居るであろう駐車場に向かっていった

私はただ彼の意味深な言葉に立ち尽くしていた…

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立ち尽くしていたせいと、いつも使う電車の遅延も相まって仕事には30分位遅刻してしまった

遅延証明書を貰って何とか許して貰ったが仕事中も彼のあの発言が頭をよぎる

「今日は貴方に会えたから頑張れる気がします…か…。」

休憩中、彼の言葉の意味を必死で考えた

「うーん…。
ありえないよね。
だって…。」