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目の前には大きな襖があって、その煌びやかな襖を開けると自分と対して変わらない小さい背中が見えた。
隣に居る男の人の顔を覗き飲むとくいっと顎で『行け』と無言の圧力。
私は少年の背中に軽い挨拶を述べる。
最後に頭を下げてじっと声がかかってくるのを待つ。
「顔を上げて」
そう言われて顔を上げるとゾッとする程の綺麗な瞳。
ハーフ?何て思っていたら体が襖3枚貫いてぶっ飛ばされた。
あれ?なんて目の前に映るのは綺麗な木造の天井。
「A!」と慌ただしく廊下を走る音とさっきの男の人の声。
はて?
「弱い奴はいらない」
それが最初に彼に言われた言葉だ。
今でも鮮明に覚えている。
体の痛みよりどうやって吹っ飛ばされたのか、しか頭が回らない。
ジュルリと私の体を守る透明の蛇。
……ムカッとするより過去の自分のように見えてなんだが悲しくなった。
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あれから根気よく近付くもすぐに私は彼からの容赦ない攻撃に何度も何度も吹き飛ばされる。
あれれ?何て思えばお偉いおじさんが私に向かってため息を吐いた。
どうやら彼に手を焼いているのは私だけではなく全体と見た。
けれど叱られるのは私だけ。
彼を叱る人は居ない。
媚びへつらう大の大人が逃げ腰に彼を褒める。
私はその光景を何度も見ては納得がいかなかった。
そして私と彼の最初で最後の喧嘩が出会って1週間もしないうちに訪れた。
「あんた、親に捨てられて俺の家に拾われたんでしょ?」
「?」
「あんたとはイトコなんだって」
「いとこ?」
「こんな弱い奴がイトコって……もういい加減出てってくんない?」
「……」
「ねぇ、聞いてんの?」
私が捨てられた?
どう吹き込まれたのか分からないけど、ニヤニヤ笑いながら「捨て子」と言う彼に怒りが吹き出す。
気付いたら彼は驚いて居て私は悲しくないのに、枯れたと思っていた涙が溢れていた。
こっちがどんな思いで、どんな扱いをされてきたのか。
何を知ってて、何をわかって、その言葉を言っているんだ。
『母親を殺されたくなければ---』
その言葉を聞かされて毎日毎日毎日毎日毎日毎日。
血反吐を吐く思いで過ごしてきたか。
「っ……なんっ……で……」
ギリギリと悟の首を締め付けるナニカ。
体も不自然に浮いては私はそのまま殺そうかと思った。
けど、背中に走った痛みに私は簡単に気を失ってしまった。
ああ、痛いよ…痛いよお母さん……。
お母さん……。
会いたい……。
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+ちっく(プロフ) - イヤアアアアア!!!またまたコメントありがとうございます!こんな読みづらい小説を読んでくださりありがとうございます(´;ω;`)これからも頑張ってこう、こねくり回して書いていくので!これからも楽しんでいただけると嬉しいです!!応援ありがとうございます!!! (3月28日 0時) (レス) @page35 id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@ペア画中 ???,??,??(プロフ) - やっぱりこの作品大好き過ぎます✨✨この作品の大ファンになろうかしら。というかもうなっているような気がするのでファンクラブにでも入りまっする💪🏻ホント!!大ファンです!!応援してます!!!! (3月27日 22時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 七星 麗華@???,??,??さん» ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!有難うございます!有難うございます!!これから色んな人と沢山絡めるように沢山執筆いたします!!!!応援有難うございます!(ᐠ ᐛ )ᐟアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ (12月30日 18時) (レス) id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@???,??,??(プロフ) - こんな素敵な小説なのになんでこんなにも伸びないんだぁ…………大好きです、この作品!評価とお気に入り失礼します!! (12月30日 8時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+ちっく | 作成日時:2023年11月29日 6時