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一通りを眺めながら話すことも無くななみんと一緒にぼーっとする。
前もこんな事あったな、と思いながらポケットから白い封筒を取り出す。
はい、と右に視線を移してななみんに差し出すと「なんですか?」と受け取る。
中身を確認しところでため息を吐かれて再度渡される。
え、いらない。
「なんでこんなに入ってるんですか」
「フライパンのお金と家賃とか食費とかの」
「何日もいなかったでしょう」
「3日は居たよ」
「どんな貴族の生活ですか」
「迷惑料?」
「かけられた覚えはありませんよ」
神か?
人間です。
他愛ない会話をしてからななみんは仕事に戻るとだけ言って私の傍を離れる。
また連絡する、なんて言えず私はななみんの後ろ姿を見送るがななみんがくるりと振り返った。
さっさと帰りなさい、とだけ読み取れたその口の動きに私は首を縦に振る。
今度こそななみんは振り返ることはなく私も直ぐにその場から離れた。
「……仕事、ねぇ」
一人悟の家へと帰る中ごちる。
今まで単独でしていた仕事、それが誰かと一緒に協力し社会に溶け込む。
今考えたら経験が無い事にもすぐにわかる。
昔なんて……ずっと1人で誰かが指示されたことを淡々とこなすだけ。
悟と出会ったのだって悟の教育、育成、教養。
人間離れした生活を送ってきたのに今更何に溶け込むのか。
考えるよりも先に与えられた事をこなして何が楽しかったのか。
「ろくでもない生活だった」
悟を守れ、悟を制御しろ、悟を見張り監視しろ、悟、悟、悟……。
私はただ母の力が強くて代々引き継いできた力があるだけで利用価値なんてないのに。
言うことを人よりも聞いて、世間知らずで扱いやすい。
歳も悟と離れてはいるが子供ならと利用されたんだろうね。
それだけ考えただけで反吐が出る。
けれど、悟を憎いとかは思わなかった。
こんな窮屈の中生きていた私のようになって欲しくない。
そう思ってたけど甘々に育てられる悟をみて安心したのは事実。
なんて不合理なんだろう。
なんか……。
「めんどくさい」
ピタリと足が止まる。
がやがやとする街中で私はだらりと下がった腕を見る。
黒いブーツが見えて頭が真っ白になる。
なんだろう。
疲れた。
ただ疲れた。
あれかな、気持ちが落ち込んでるだけかな。
嫌なことを思い出すと全てが嫌になるって奴?
「めんどくさい」
最後にそう呟いた時、その場にもうAの姿は無かった。
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+ちっく(プロフ) - イヤアアアアア!!!またまたコメントありがとうございます!こんな読みづらい小説を読んでくださりありがとうございます(´;ω;`)これからも頑張ってこう、こねくり回して書いていくので!これからも楽しんでいただけると嬉しいです!!応援ありがとうございます!!! (3月28日 0時) (レス) @page35 id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@ペア画中 ???,??,??(プロフ) - やっぱりこの作品大好き過ぎます✨✨この作品の大ファンになろうかしら。というかもうなっているような気がするのでファンクラブにでも入りまっする💪🏻ホント!!大ファンです!!応援してます!!!! (3月27日 22時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 七星 麗華@???,??,??さん» ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!有難うございます!有難うございます!!これから色んな人と沢山絡めるように沢山執筆いたします!!!!応援有難うございます!(ᐠ ᐛ )ᐟアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ (12月30日 18時) (レス) id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@???,??,??(プロフ) - こんな素敵な小説なのになんでこんなにも伸びないんだぁ…………大好きです、この作品!評価とお気に入り失礼します!! (12月30日 8時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+ちっく | 作成日時:2023年11月29日 6時