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水滴の落ちる音で目が覚めた。
ゆっくりと目を開けると静かで体には何かが巻きついている感覚。
よく見ると透明の紐のようで姉さんの式神だとわかった。
溺れないようにしてくれてたのか。
「姉さん?」と思わず声をかけてしまったが本人は背筋を伸ばして俯き目をつぶっていた。
ただ姉さんの周りには幾つもの水滴がピタリと動かず浮いている。
「ひゃーく!」
「!」
んー!と両手を伸ばした途端今まで空中で止まっていた水滴がボチャボチャを落ちてきて「つめてっつめてっ!」と姉さんが雨のように打たれた。
僕と目が合うとにこりと笑う姉さんは「温まった?」と聞いてきたが本当は百なんてとっくに超えてるんだろう。
僕が寝てるのに気づいて気を使ってくれたんだ。
そういうところも大好き。
寝ぼけたフリして擦り寄り抱きつく。
よしよしいい子いい子、なんて頭を撫でられていつもとは違う明るいトーンではなく優しくいつもより低い声。
好きだなぁ……。
「今日一緒に寝てくれる?」
「悟が寝たいなら寝よっか」
「うん」
きっと僕が嫌がっても姉さんは寝てくれる。
喧嘩しても姉さんは構わず一緒に寝てくれる。
姉さんは僕にだけ優しい。
“僕に”だけでいい。
優しく頬に口付けると姉さんは僕の首に顔を寄せる。
「おやすみ」
その声で意識が落ちた。
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携帯にあるメールを整理しながらカチカチと音を鳴らす文字盤。
隣からは静かな吐息だけが漏れていて私は安心してその場を離れる。
皆、と声をかけるとさわさわと室内なのに髪が揺れる。
「仕事が入ったよ」
最後に可愛い弟の顔を見て「行ってくるね」とおでこにキスをひとつ落とす。
それでも微動だにしない悟を置いて部屋を出る。
テーブルには式神が作った料理が並べられていて「ありがとう」と言えば透明の何かが目の前を横切った。
もう暗くなり始めたリビングにAは息を静かに吐くとトプン、と地面に溶けた。
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君誰?と声をかけると目の前の男が振り返る。
振り返ったと同時に男の手にあるのは私の依頼者の首。
私もその人の人使いの荒さはイラッとしてたけど何も殺すなんて……と思ったが目の前の子が声を発して目線を上げた。
「君も依頼されてたの?」
「あ、同業者?」
なーんだ、と近付けば見えてきた姿。
知らない。
誰だろう?
「真人だよ、よろしくね、綺麗なお姉さん」
「私はA、その手で握手は嫌だ」
「あ、ごめんね」
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+ちっく(プロフ) - イヤアアアアア!!!またまたコメントありがとうございます!こんな読みづらい小説を読んでくださりありがとうございます(´;ω;`)これからも頑張ってこう、こねくり回して書いていくので!これからも楽しんでいただけると嬉しいです!!応援ありがとうございます!!! (3月28日 0時) (レス) @page35 id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@ペア画中 ???,??,??(プロフ) - やっぱりこの作品大好き過ぎます✨✨この作品の大ファンになろうかしら。というかもうなっているような気がするのでファンクラブにでも入りまっする💪🏻ホント!!大ファンです!!応援してます!!!! (3月27日 22時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 七星 麗華@???,??,??さん» ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!有難うございます!有難うございます!!これから色んな人と沢山絡めるように沢山執筆いたします!!!!応援有難うございます!(ᐠ ᐛ )ᐟアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ (12月30日 18時) (レス) id: 979058a2f7 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華@???,??,??(プロフ) - こんな素敵な小説なのになんでこんなにも伸びないんだぁ…………大好きです、この作品!評価とお気に入り失礼します!! (12月30日 8時) (レス) id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+ちっく | 作成日時:2023年11月29日 6時