【安室透】私はブサイク専門【降谷零】

38 ページ38

.



「お前だって結局見てんのは顔だろうが、何自分のこと棚に上げて品定めしてんだ豚野郎」

「な！なななな！僕に向かって豚だと！！！？」



あんた！と親に怒鳴られるが知ったこっちゃない。

無理やり引き合いに出したのは親だ。

めちゃくちゃにされるとわかっててお見合いさせたんだ、後悔しろ。

ふんっだ。



「このっ…お前なんてどうせ売れ残りだろ！！20後半にもなって彼氏止まりで満足してるばばあが！！」

「あ？」

「どうせその彼氏だってお前の顔に惚れたんだよ！！お前なんて---」



“顔がいいだけなんだよ！”

何回言われたか忘れたそのセリフを聞いて怒る気もない。

むしろお前もか、と納得するだけ。

あっそう、と座敷を出ようとして逃げるのか！と言われた。

うるせぇ。

そんなことわかってらぁー。



「生憎私の武器はこの顔なので」



にっこり笑って今度こそ襖を開けようと手を伸ばした時襖が勝手に横にスライドした。

あら、と見えるのは真っ白な靴下。

そしてカジュアルなズボンにオシャレなジャケット。

顔を上げると遅くなりました、と息の荒い彼の声。



「安室さん…」



ああ、やっぱり私にはこのくらい刺激がないとつまらないわ。

後ろでまぁ、と驚く声は母のものじゃない。

誰だお前！と噛み付く豚に私はふふん、と笑ってみせる。

その顔で察しがついたのか悟がまた怒り出す。

おい、血圧上がって脳みそ弾けるぞ？



「Aさん行きましょうか？」

「おいまてよ！！まだこっちは終わってないんだぞ！勝手に帰ろうとすんじゃねぇ！」

「おや、これは失礼しました…私Aさんとお付き合いしている安室透と言います」

「お前に話してねぇんだよ！そこの女に用があんだよ！」

「それは困りましたね…どうやら彼女は貴方と話したいような感じはないですし、僕を通してからでもよろしいでしょうか」

「は、はぁぁあ？！」



使えるな君。

そう目で合図するとどういたしまして、と言われた。

エスパー安室だ。



「お義母さん、僕に不平不満があるなら快く受け入れます」

「え、いえ、そんなわけでは…」

「Aさんの為なら何がなんでも治しますし、受け入れて貰えるよう努力しますよ」



顔イケメンなのに性格もイケメンなの？

ぼやーっと安室さんを見ていると体が宙に浮いた。

認識するのに時間がかかったが目の前には整った顔がこれでもかと近くに見えた。









.









「これからデートなので失礼しますね」

39→←37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す