【安室透】私はブサイク専門【降谷零】

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「Aさん、世の中にはイケメンでもいい人いますよ」

「え…ええ…」

「そーですよ！ブサイクでも悪い人は居ますよ！」



呆れた顔で口元が引きつっている園子ちゃん。

それに続いて蘭ちゃんもカウンターに身を乗り出してきた。

安室さん居なくてまじで良かったと思った。

パンプキンパイを頬張りながら苦笑いでこちらの輪に入れないコナンくんは私の肩を持ってくれない。

むしろ「何言ってんだ？」っていう顔をされた。

小学生の癖に。



「第一Aさんのこと騙してた人って“たまたま”イケメンで尚且つ“たまたま”そういうこと言ったってことじゃないんですか？」

「そーそー！ブッサイ男でもろくな奴は居ないし！Aさんそーゆー人と付き合ったことあるの？」



人差し指を立てて“たまたま”を強調する蘭ちゃんに納得しつつ、後から繋げる園子ちゃんの言葉にもなるほど、と思ってしまう。

考えるように右手で顎を支えるとコナンくんがケーキのおかわりを要求してきた。

蘭ちゃんと園子ちゃんも続けて「私も！」と言うので苦笑いで多めにパイを切り分けた。



「第一Aさんって人の事見てるようで見てないわよねー」

「ええ…そ、それはどういう意味かな？」

「んー…私も園子も見ただけって言うか感じた事なんだけど、安室さんとかイケメンだけど優しい感じだなって」



イケメンがする事は優しく見えちゃうんだよ。

それがイケメンマジックなんだよ。

種も仕掛けもないんだよ、むしろ催眠術ですか？って思いたくなるほど素敵に見えるんだよ。

あれ？

でもあいつ私の使用した冷えピタ袋に入れてたよね？

やべ、殺意マジックだ。



「じゃあじゃあ！Aさんは安室さんのこといい人だなーって思いませんか？」

「ない」

「優しいなーとか、かっこいいなー、とか彼氏だったらーとか！」

「ない」



乾いた笑い声がコナンくんからして私も乾いた笑いが口から出た。

蘭ちゃんに続いて園子ちゃんがじゃあ！と続けてくるけど蘭ちゃんは優しいのに…と引っ込んだ。

優しくするなんて誰でも出来るし、かっこいいってことはイケメンじゃなくても出来るんだなー、これが。

だからそういう素振りとかは要らないのよ。

見た目なのよ。

第一印象とかと同じよ。

そう…イケメンなんて…。









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「だとよ、安室さん」

『心が痛い…』



盗聴器でこっそり聞いていた安室にコナンは少しだけ同情した。

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