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過去が思い出せないといっても、

断片的には思い出せる。大丈夫。

私の名前がAだってこと、

高校入るためにいっぱい奨学金借りたこと、

高校生活でのこと、

ひとり暮らしのこと...


あれ、どうして私はひとりなんだろう?

奨学金より明らかに多い借金は?

この身体の震えは?

お父さんは?お母さんは?お姉ちゃんは?弟は?

私には姉や弟がいたの?




「A様?どうかされましたか?」



『っいや!なんでもない!』



「その顔色でなんでもないとは何ですか!

とりあえず横になって思っていること全部こんのすけにお話くださいませ!!」



怒られてしまった。

大人しく横になって、こんのすけに語りかける。



『あのね、"過去"が思い出せないの』



「え?...

どこからの記憶はお持ちで?」


『ひとり暮らしを始める2、3カ月前までは。

そこからの記憶は、ほとんど思い出せない』


「いつから記憶がお無くなりに?」


『...!わからない!さっき過去を思い出そうとして、始めて気付いた』



こんのすけが神妙な面持ちで何かのフォルダを漁り出す。

しばらくして、



「ご安心ください。ゆっくり思い出せばいいでしょう。

きっとすぐに思い出せますよ」



そう、優しく微笑まれた。

私は安心したのか、意識が暗転した。



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作者名:ゆひ。 | 作成日時:2018年8月30日 3時

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