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無言で歩き続けていれば、ひどく閑散とした通りに出た。
周りに人がいないのを確認すると、無一郎は急に足を止めて一言言った。
「そうやって僕をイラつかせてさ、何が楽しいの?」
刺々しい言葉にもAはそっぽを向いて口ごもるだけ。
「僕のことは避けるくせに、他の男とは楽しくお出かけするんだ?」
『……本当にごめんなさい。反省、してるから……』
謝罪の言葉は口にするも、一向にこちらを向かない彼女に無一郎の怒りは限界を迎えそうになっていた。
「なんでこっち向かないの。」
『いや、その……』
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「ッいい加減にしろよ。」
肩を掴んで無理矢理壁に押し付ければ、やっとAが正面を向いた。
だが驚いた彼女の顔を見て、無一郎まで驚いてしまう。
「化粧、してるの……?」
『…うん、ちょっとね……』
陶器のような白い肌がほんのりと赤く染っている。
そして何より惹かれるのは、その口紅が塗られた艶やかな唇だ。
『私、綺麗になりたくて。
何より…無一郎くんにもっと愛されるようになりたくて……』
ぽつりぽつりと、その魅力的な唇が経緯を話す。
『中途半端なお化粧を見られるのは恥ずかしかったから、ちゃんと上達するまでは見られたくないなって思ったの。』
本当に恥ずかしいのか、化粧が意味を成さなくなるくらい顔を赤くさせている。
その一つ一つの仕草、表情が無一郎にとっては甘い毒でしかない。
『それで……男の人から見た感想を聞きたくて……』
そういうことだったのか。
炭治郎といた店が化粧品店だったことを思い出し、合点がいった。
「どうしよう。すごく可愛い。」
『本、当……?』
「うん。もう耐えられないくらい可愛い。
ねぇ…口付け、していい?」
『お、お願いします……』
「俺にこれだけ愛させたんだから、責任とってよね。」
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「でもなんでいきなり化粧なんて……」
『あのね、花嫁行列を見たの。
花嫁さまがとても綺麗でね。羨ましいなって思って、つい……』
「羨ましがらなくったって、どうせすぐに花嫁になるんだからいいじゃん。」
『ふふ、そうだね。』
後日、炭治郎くんと煉獄さん、宇髄さんにはしっかりとお詫びしました。
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正真正銘、柱です。【悲鳴嶼行冥&不死川実弥】(美桜様リクエスト)→←嫉妬だってする【時透無一郎】(あむ様リクエスト)
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凪 - 貴方様の描く冨岡さんが好きです(( (2020年2月3日 14時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
せんか(プロフ) - 美桜さん» 今回も気に入っていただけたようで安心しました。リクエストのリピート承りました!いつも自分では思いつかないようなネタのおすそ分けをしてくださりありがとうございます!今回は早めに取りかかりますので、少々お待ちください。 (2019年12月19日 11時) (レス) id: 6317096ed8 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - お館様原作無視の設定でお願いします。 (2019年12月19日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - またリクエストいいですか?夢主柱で夢主煉獄恋人。夢主はお館様悲鳴嶼に告白&アプローチされる。お館様独身。お館様悲鳴嶼は夢主が煉獄と恋人だと知っている。お願いします。 (2019年12月19日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - せんかさん» ありがとうございます。話面白かったです。 (2019年12月19日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せんか | 作成日時:2019年12月1日 18時