悪魔の秘密と恋と嘘2【桃】

80*Fin* ページ40

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『失礼します。
そろそろ式が始まりますので、新郎の方は先にご準備お願いします』



ウエディングプランナーの人がまた部屋に入ってきて
望を定位置に促す。


望と少し離れるのが寂しくて、遠くなる背中を見つめていると急に望が振り向いて



望「先に待ってるからな」



なんて柄でもないことを言った。



「……」



いつもおちゃらけて、私をリードしようと必死なのが見え見えなのに
その顔はとてもたくましくて、安心できた。

私は今日から小瀧Aになるんだ。

その自覚が芽生えてきて恥ずかしくなる。



『それでは、新婦の方はこちらに』



そう導かれた先には、父がいた。

普段は物静かで何を考えているか分からない父だけど、
今日は心做しか寂しそうな顔をしている気がする。



父「…A、おめでとう」


「…お父さん、ありがとう」



こうやって笑えるのも全部望のおかげ。


本当に時折、あのまま望を選ばず淳太くんと結婚していたらどうなっていたんだろうと思う自分がいる。

…それはそれで、幸せだったのかもしれない。

でも、私は望とこうやって生涯を共にする誓いを立てられることがとても幸せだ。


あの時、ああすれば。

あの時、こうしておけば。


毎日後悔ばかりの日々だけど、
運命に身を任せるしかない。



望「A、愛してるよ」



“おねーさん”

“望くん”


悪魔みたいな秘密の約束から始まったこの恋。


私たちの物語は、まだ始まったばかりだ。







〜Fin〜




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