悪魔の秘密と恋と嘘2【桃】

64*N side* ページ24

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病院に着き、タクシーにお金を払おうとするが
震える手がそれを拒む。

怖い、怖い。

Aさんが、死ぬかもしれない…？


カタカタ震える俺を見て、
タクシーの運転手が落ち着いてくださいと言う。



『俺はいくつもあんたみたいな人見てきたけど
あんたが焦ろうが、焦らなかろうが事実はかわらんよ』


望「………っ」



タクシーの運転手にお金を渡すと
『大丈夫や』と言われそのまま去っていった。


なにが、大丈夫やねんっ…


病院へ入りAさんの苗字を言うと
集中治療室の前へと連れて行かれた。

こんなとこ、ドラマでしか見たことない。

ここに来るってことは、
かなり危ないってことちゃうん……



『Aさんは大丈夫ですよ』


望「…………」



励ましてくれる看護師さんの言葉は響かず
ただ頭を抱えるだけだった。

なんで、Aさんが…
こんな時間に交通事故なんて……

会社の休憩で、ちょっとしたランチにでも行ってたんかな。


ほんまに、あほ……

今すぐあの太陽みたいな笑顔で優しく
「私は大丈夫やで」って言ってや……


……そう言えば…

アイツは……中間社長は…？


俺から連絡が来て、かなり経った。

俺に連絡が来たってことは
相当周りの人に繋がらんかったんか…？


…なんにせよ、Aさんがこんな状況やのに
病院におらんのがおかしい。


いつの間にか、Aさんの安否より
中間社長の不信感への怒りが溢れそうになっていた。








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