悪魔の秘密と恋と嘘2【桃】

61*N side* ページ21

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『………む』


『………ぞむ…』



流「おい、望！」


望「……っ、え？」


流「お前は何にするん？って」


望「…え、なにが」


流「……はあ？お前聞いてなかったん」


望「……」



ここ最近、こういうことが多い。

意味もなくボーッとして、
身体はここにいるのに、心はどこか行ってる。


理由なんて考えなくても分かってる。

………Aさんだ。


あの日、俺の家に連れて行った日から
今日でちょうど1ヶ月経った。

彼女から連絡も来ないし、
俺からも連絡する意味が無い。


…なぜなら、Aさんは
中間工務店の社長の婚約者だから。



流「諦めるんちゃうかったんかー」



隣の流星は、カバンをだるそうに持って
大あくびをしている。

何を考えてるのか、流星にはお見通しだったようだ。



望「……そのつもりやけど」


流「どこがやねん(笑)」



他人事やな。

でも実際そうか。



流「まさかお前がそこまで本気とはなぁ」


望「…うるさいわ」


流「…しかも振られてるし(笑)
今まで振られるって言葉知らんかったのに」


望「……」



無言で流星の頭をどつく。

いてぇ…(笑)って笑ってる流星は全然堪えてない。

でも、それもコイツなりの励ましやと思ってる。



流「でも偉いんちゃうん？
相手にはもう婚約者がおったんやし」


望「……」



わかってた。

ガキみたいに足掻いてみたものの
彼女の目に俺が映ってなかったことなんて。


…ただ、
それでも、俺は貴女が俺の元に来てくれるんじゃないかって…

少しだけ。

ほんの少しだけでも期待してた。







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