ビターチョコ・シンドローム【赤】

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大「なあ、A」

「…っん？」

大「来週のサークルの集会やねんけど…」



二限が終わり、昼休みを挟んで三限が空きコマである今、テーブルを挟んで前にいる大毅がふと見つめていたスマホを顔を上げた。

動揺する私に一切触れず、来週のサークルの集会の話を続ける大毅。

私だけが様子が変だと感じた。

大毅は本当に昨日のことを覚えていないのかもしれない。

…なら、私もそのように振る舞わなければいけないと思いできるだけ今まで通りの対応を心がけた。


できるだけ普通に、今まで通り。

でもやっぱり隠し通せないもので。



大「A」

「ん！？」

大「…なぁ、お前なんか今日変やで」



四限は望くんは別の授業へ行ってしまい、私と大毅は同じ授業のため教室を移動しているとそう言われてしまった。

変やでって、誰のせいだと思っているんだ。

私はいつものように、そんなことないわと笑う。



「大毅も変やで」

大「…は？何言うとるん」



私は少し鎌をかけてみたが、大毅は本当に何を言ってるんだと言うような態度をとる。

この様子では、どうやら本当に昨日のことを覚えていないらしい。



「…ほら、はよ教室行こ」

大「……なんや、変なA」



立ち止まって首を傾げる大毅を背に早々と歩きだす。

こんなにも私の心を乱しておいて覚えてないのは罪すぎる。

昨日のことは忘れよう。

多分大毅も私も酒に飲まれすぎていたんだ。



大「もしかして、昨日のこと覚えてるんか」



なんて、自分の中で気持ちを整理しようとしていた矢先大毅がそう言ってニヤリと笑った。






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