ビターチョコ・シンドローム【赤】

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『はい、コーヒーとアイスココアね』

大「ばーちゃんありがとう」

「ありがとうございます」



私は氷の入ったグラスに注がれたアイスココア。

上の方にちょん、と乗っている生クリームが嬉しい。


一方、大毅は大人なコーヒー。

スティックシュガーも、フレッシュも入れずにブラックで飲む大毅が羨ましい。

私もそんな風にかっこよくコーヒーを飲んでみたい。


なんて思って、無駄にストローでアイスココアをクルクルと混ぜた。



大「あ、そうそう、本題に入るんやけどさ」



大毅が思い出したように話し出した。

本題って…この店を教えるために来たわけじゃないんや。



大「オリジナル曲、Aできてる？」

「……う、うーん」



ギクッと音が出るくらい背筋が伸びた私。

そんな反応の私に大毅が笑う。



「正直、あんまし…」

大「ふはっやと思った(笑)」



私の反応に困るわけでもなく、大毅は鞄をゴソゴソと漁り出した。



大「……実は俺、曲作ってんねん」



これ、と出されたのは一冊のノート。

渡されるがままペラペラとページを捲ると、たくさんの詩が書かれていた。

……これまさか…



「……全部、歌詞？」

大「そ、メロディももう何個かは付けてる」



すごい。

純粋にすごい。


大毅の言葉選びというか、センスが好き。

一見、子どもっぽい歌詞だと思ったけどよく見てみるとこことここが掛かっていたり…

遠回りせずに、ストレートに心に響いてくる。



「……私この、歌詞特に好き…」



ひとつのページに目を落とすと、そこには『間違っちゃいない』と題された歌の歌詞が並んでいた。







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