ビターチョコ・シンドローム【赤】

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大「ここ！」

「うわぁ、ザ・喫茶店って感じ」



お洒落なカフェとはお世辞にも言えないような、入り組んだ路地の先にあった喫茶店は、表のディスプレイに埃が若干被っていたり看板にガタがきているような隠れ家のようなお店だった。

嬉しそうな大毅に、私も釣られて入店する。

と、出てきたのは優しそうなおばあちゃん。



『いらっしゃい』

大「ばーちゃん、今日は友だち連れてきたで」

『あぁ、そうなんやね、いらっしゃい』



私の顔を見て、にっこりと笑いながらそう言うおばあさんはとてもいい人そう。

大毅は馴れ馴れしくおばあさんのことをばーちゃんと呼ぶので、親戚？と聞くと「全然ちゃう」なんて笑う。

改めて大毅のコミュ力に驚く。

そんな会話をしながら私と大毅が席に着いた途端に、お水とおしぼりを持ってきたおばあさん。



大「ばーちゃん、俺ホット」

『はいはい、お嬢ちゃんは？』

「……あ、えーと…」



渡されたメニューを見る。

私はコーヒーが飲めないので、私も同じのでなんてかっこよくスマートにできないわけで。



「……ココアで」

『はい、アイスでいい？』

「あ、大丈夫です。お願いします」



おばあさんは私の返答を聞くと、店の奥へと入っていく。

その背中を見つめていると、目の前に座った大毅が嬉しそうにニコニコしながら



大「めっちゃいい雰囲気やろ」



なんて言った。


確かにこんな感じの静かな隠れ家っぽい喫茶店とか大好きで、まさにこのお店は私が求めていたような所だった。



「めっちゃくちゃ気に入った」



おばあさんも優しいし、雰囲気もめちゃくちゃ好きだし、と私が言うと「やろ？」なんてまた笑う大毅。






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