ビターチョコ・シンドローム【赤】

11 ページ11

.





「おつかれ」

流「おん、お疲れ。
Aこれから空いてる？」

「え…まあ」

流「じゃあ酒買って語ろうや、その事について」



アルバイトが終わり、店のシャッターを閉めるとそう言ってニヤニヤと笑う流星くん。

もしかしたら、相談相手を間違えたかもしれない。

どう見ても私の相談を流星くんは楽しんでいる…



「そんな大した話ちゃうよ」

流「いや、詳しく聞いたら絶対おもろい」

「……」



やっぱり面白がっているな…！


シャッターの鍵を店のポストに入れ、私たちは近くのコンビニに足を運び各々好きな酒を買った。

流星くんはビール一缶、私はスト缶を。

私の買う酒を見て、女子大生やのに買う酒可愛く無さすぎん？と笑われた。

買い出しを終え、コンビニ前にある小さな公園のベンチで二人腰をかけて缶を開ける。

プシュッと気持ちのいい音を聞きながら、バイト後の喉に流し込む酒は美味しい。



流「んで、それAの実体験？」



間髪入れずに、話題を持ち込む流星くん。



「……まぁ、」

流「ほーん、けどソイツはAん中で親友なんや」

「うん、恋愛対象として見たことないっていうか…」



私がそう言うと、流星くんはビールを少し飲んだ。

じーっと前を見て何か考えている。



流「俺、常々思ってることあんねんけど」

「ん？」

流「男女間の友情って成立せんって、嘘やと思うねん」

「……」

流「そんなんさ、人それぞれじゃない？
俺A抱けって言われたら無理やもん」

「えっ、ちょっとそれ酷ない？」

流「けどAも俺に抱かれるの無理やろ？」



無理やわ、と即答。

確かに流星くんはイケメンでモテモテやけど、私が彼に抱かれることが出来るかって言われたら無理。

意外と傷つくなと笑われたが、流星くんが言っていることは理解できる。



流「けど、自分が恋愛対象じゃなくても、相手は自分のこと恋愛対象かもしれんしな、そこがムズいねん」






･

12→←10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す