鬼と白昼夢２

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アルミンside

その巨人には見覚えがあった。
作戦の開始とほぼ同時に現れ、瞬く間に戦況を混乱状態へと変えた張本人。·····間違いない。

「あいつは···トーマスを喰った奇行種·····」

呟いた途端、思い出したくもないあの凄惨な光景がフラッシュバックした。

それは、ほんの数秒の出来事。

あ、巨人。
気づいた時にはもう遅かった。次の瞬間、トーマスの姿は消えていた。
そこからはあっという間だった。ほんの僅かな時間で、本当にたくさんの命が失われた。数秒前まで、そこにはトーマスがいたのに。いや、トーマスだけじゃない。皆、生きていたのだ。

僕は動けなかった。恐怖で足が竦んだ。仲間が喰われていく様子をただ見つめることしかできなかった。
そして挙句の果てに、僕は、エレンを───


──────殺した。


”謎の巨人”がトーマスを喰った巨人に向かって走り、その項に齧りついた。そのまま建物に叩きつけ、背後から迫っていた巨人に向けて投げ飛ばす。

ジャンの声がする。多分、巨人はどこまでいっても巨人なんだ、的なことを言っているのだろう。皆の声が遠い。

巨人に”体力”なんてものがあるのかは知らないが、きっと活動限界がきたのだろう。物凄い地響きを立てながら”謎の巨人”はその場に倒れ込んだ。
しかし、本当に驚くのはそこからだった。
突如巨人の項に亀裂が入り、中から勢いよくナニカが飛び出してきた。
僕の目はソレに釘付けになった。

だって、そこには────









─────いつもと何ら変わらぬ姿のエレンがいた。

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