恋せよ乙女 ｰ佐野玲於ｰ

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貴女「…っ！？」



玲於「や…っ」



佐野くんとピアノの練習を初めて2週間



玲於「やったあ！」



貴女「最後まで弾けた…」



お兄ちゃんがいなくなって

初めて最後まで弾けた



玲於「いい音とか俺は分かんないけど、多分今までで1番良かったよ」



貴女「今まではピアノを弾くとお兄ちゃんとかお母さんのこと思い出してたけど、今は佐野くんとのことが頭に浮かんでた」



玲於「え…」



貴女「わ、久々だ」



玲於「ていうか、そろそろ出てくるんじゃね？」



貴女「何が？」



ガラッ



玲於「ほら出た」



奏「宮野さーん！俺、感動した！」



貴女「ほんとだ、出てきた」



奏「俺が聴いた中で1番だった！」



玲於「Aちゃんから離れろ」



奏「なんだ、いたの」



玲於「見えてたろ」



奏「コンクールどうする？」



貴女「えっ、と、それはまだ考えさせてください」



あ、でももしこのコンクールでいい演奏ができたら

お母さんも少しは私の事認めてくれたりするのかな？



貴女「出てみようかな」



玲於「Aちゃん、大丈夫なの？」



貴女「うん…やってみたい」



奏「ありがとう！先生に伝えてくるね！」



貴女「あの、でも条件が…」



奏「うん、なに？」



貴女「練習する時、佐野くんを連れてきてもいいですか？」



玲於「俺？」



貴女「佐野くんがいると、安心してピアノが弾けるので」



玲於「うわあ、」



奏「なーんか、面白くない。でも、宮野さんがそうしたいならいいよ！」



貴女「ありがとうございます」



玲於「先輩…」



奏「なに」



玲於「無自覚な子ほど、罪なことってないっすよね」



奏「たしかに」



このコンクールでいい結果を残して、

お母さんを見返そう


お兄ちゃん見守っててね

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