恋せよ乙女 ｰ佐野玲於ｰ

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貴女「…よし」



目を閉じ、指を鍵盤の上に置いた



玲於「ゆっくりね」



〜♪



貴女「…ゆっくり」



〜♪〜♪



貴女「あ…」



指が震えて…



玲於「Aちゃん、俺の目見て」



貴女「……」



言われたまま佐野くんの目を見つめた

手が額に伸び



貴女「…っ」



バチンっ



貴女「いっ…たあ！え、なに？」



玲於「デコピン」



貴女「なんで？！」



玲於「したくなったから？」



貴女「子どもなの？ねぇ、子どもなの？」



玲於「Aちゃんがお願いしたんだよ？ピアノを弾けるようになりたいから、協力してって」



貴女「そうだけど…」



奏「どうも！」



玲於「うわ、また出た」



奏「ねぇ君。俺、先輩だからね？」



玲於「知ってるよ」



奏「宮野さん？だっけ？」



貴女「はい」



奏「夏休み明けたらすぐ、コンクールあるんだけど出てみない？」



貴女「コンクール…ですか？」



奏「うん！君のピアノだったらいいとこいけると思うんだ！」



貴女「考えます」



奏「いい返事期待してるね！」



貴女「いや、期待するのは…ちょっと」



奏「えぇー」



玲於「Aちゃんにプレッシャーかけんなよ！」



奏「また聴きに来るからね〜」



玲於「無視じゃん」



コンクールか…

お兄ちゃんがいなくなって1回も出てない


お母さんには出なさいって言われてたけど

ピアノ弾けなくなったから



玲於「無理しなくていいからね？」



貴女「…うん」

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