声が出ない君へ－佐野玲於－ (ページ42)

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貴女「急いで！玲於！」

玲於「急ぐけど、Aは落ち着いて」

貴女「時間ギリギリなんだから！」

今日は永久さんの結婚式

俺らは籍は入れたけど、まだ結婚式はしていない

玲於「ねぇ、お願いだから慌てないで。心配」

Aは今、妊娠中

つい最近発覚した

律「おーい！急げー！」

貴女「ほら、律くんも迎え来ちゃったじゃん！」

玲於「コケたら危ないよ」

貴女「心配してくれるのはありがたいけど」

律の車に乗り込んだ

律「よし、Aちゃんは具合悪くなったらすぐ言ってね？」

貴女「うん、ありがとう」

車に揺られ、結婚式場に着いた

貴女「あ！永久くん！」

永久「A！走ったら危ないよ！」

貴女「結婚おめでと～」

玲於「おめでとうございます」

律「奥さんは？」

永久「あっちの部屋でメイクとかしてもらってる！」

貴女「永久くん、かっこいいね」

永久「そ？ありがとう！」

貴女「永久くんが結婚かぁ」

永久「なに？」

貴女「ううん、何でもない」

永久「A、おいで」

永久さんは腕を広げた

その腕の中にすっぽりとAは収まった

永久「俺が結婚しても、ずっとAのお兄ちゃんだからね！」

貴女「…永久くん」

永久「ていうか、そもそも先に結婚したのAたちじゃん！ちょー寂しかったからね！」

貴女「永久くん、ありがとう」

永久「なにが？」

玲於「今日だけですからね、そういうの許すの」

律「そうそう。こいつ、独占欲の塊だからね」

玲於「刺すぞ」

千紗「あ、Aちゃんだ！」

千紗さん、この人が永久さんの奥さん

綺麗な人なんだよなー

Aには負けるけど

貴女「千紗さん、綺麗です！」

千紗「ありがとう！」

律「今度いい人紹介してくださいよ、千紗さん！」

千紗「たくさんいるよ！」

玲於「あの、永久さんのことよろしくお願いします」

永久「え、それ玲於くんが言うの？」

千紗「任せて！」

Aのお腹には俺たちの子がいて

永久さんも素敵な相手を見つけて

律、お前は早くいい人見つけろ

俺だってお前も幸せになって欲しいって思ってんだからな

貴女「玲於？どうしたの？」

玲於「いや、何でもない」

今まで、何も無かった俺の人生

それを変えてくれたのはA

俺が初めて好きになって愛した女

これからももっと好きになるんだろうな