声が出ない君へ－佐野玲於－ (ページ19)

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－貴女 side－

貴女「お、はよ」

律「おはよー！」

昨日から声が出るようになった私は

短い言葉を少しずつ話すようになっていた

貴女「玲於くん、は？」

律「それがね、お腹壊したらしくてトイレに駆け込んで行ったんだ」

大丈夫なのかな？

玲於「息するように嘘をつくな」

律「いてっ」

玲於「家の鍵落としたから、拾いに行っただけじゃん」

律「だからって、叩くなよー」

玲於「おまえのせいでしょ。A、おはよう」

貴女「おはよう」

玲於くんの顔がニコニコした

貴女「なに？」

玲於「Aの声聞けるのが嬉しくて」

貴女「え？」

玲於「昨日、家に帰ってからAに会うのめちゃくちゃ楽しみだったからさ」

ドキッとした

貴女「え、えっと…」

なんて返したらいいんだろ

律「お？」

玲於「そうだ。Aって、ホラー映画とか大丈夫？」

貴女「うん、大丈夫」

玲於「律にチケット貰ったんだけど、こいつホラー映画見れないから、A一緒に行かない？」

貴女「行きたい！」

律「おお？」

玲於「いつが空いてる？」

貴女「今日、でも」

玲於「まじ？じゃあ、今日にしよう。ていうか、永久さんは？」

“今日は頑張って1人で行ってみるって言ったから、たぶんもうすぐ来ると思う”

玲於「そっか」

貴女「今日、楽しみにしてる」

玲於「うん、俺も」

永久「A！」

貴女「あ、永久くん」

永久「1人でも平気だった？」

貴女「うん、平気」

永久「良かった」

玲於「今日、夜までAをお借りします」

永久「え、なんで？」

貴女「映画見に行くの」

玲於「です。ちゃんと送ります」

永久「…A」

貴女「？」

永久「いや、なんでもない。帰ってきたら洗濯物畳むの手伝ってね」

玲於「夜ご飯、Aが好きなのたべよ」

永久「すぐお風呂入れるようにしとくからね」

玲於「映画、怖かったらすぐ言ってね？」

律「はいはい、もうすぐ授業始まるよ。いこ」

玲於「ふん」

永久「ふん」

律「小学生かよ」

玲於「また後で連絡する」

貴女「うん」

ふっと微笑んだ玲於くんのかおをみて

またドキッとした

まただ

ほかの男の子にはならないのに、どうして玲於くんだけなんだろ