【sior】完璧ケーキの甘い誘惑

２話．自己紹介 ページ4

．






友人「あれ！？A来てるじゃん！」


「おっはよー」






進級式を終えた友人やクラスメイト達が
教室に入ってきて駆け足で近寄り声をかけてきた






クラスの女子「王子がいるっ…(小声)」


クラスの女子「まじでクラス替え最高！」






クラスメイトがこちらを見て
聞けえるか聞こえないか絶妙な声量ではしゃぐ

ちなみに彼女らが言う王子とはAの事だ






友人「ひゅ〜、モテモテじゃん」


「まぁね」






教室の端に固まりこちらを見ている女子に
向けて笑顔で手を振ると大きな悲鳴が上がった






キ「“まぁね”ってなんだよ、腹立つわ〜！」






椅子に座っているAの後ろに
立っているキヨは頭に腕を乗せて体重をかける

背後から覆い被さるようにされて体が密着した






「重たいからやめて、てか近すぎ」






頭に乗った腕を軽く叩き、体を押し退ける






キ「怒んなって！」






それでも離れることはなく
無邪気に笑いながら今度は後ろから抱き締めた






「別に怒ってない、離れろって言ってんの！」






Aは肘でキヨの腹部辺りを突く






キ「痛ったぁぁ！！」


「うるっさ！耳元で大きい声出すな！！」






２人のそんなやり取りを見て
周りを囲む友人達は普段通りだとケラケラ笑った






担任「皆おはよう！席に着いてください！」






騒いでいると担任であろう男が
扉を開けて入ってくると大きな声で挨拶をする

皆、素直に自分の席に移動して大人しく座った






担任「よし、じゃあ早速自己紹介しようか！」






担任が指示した通りクラスメイトが
出席番号順に名前と一言を添えて自己紹介をする


それを呑気に聞いていたらAの順番がきた


ゆっくり席から立ち上がり
一つ、咳払いをしただけで期待の眼差しが集まる






「初めましての人は初めまして、Aです」






王子と持て囃されているのだから
同学年でAを知らない者は居ないと思うが






「皆と早く仲良くなりたいと思っているので」






クラスメイトをひと通り見回して笑いかける






「話しかけてくれたらすごく嬉しいです」






１年間よろしく！の一言で締め括り
席に座ると鼓膜が破れんばかりの拍手が響いた






キ「王子〜！」






かなり離れた席から
大袈裟な歓声を飛ばすキヨの方を向いて睨む






「(うるせーよ)」






黙れ、とジェスチャーで伝えると
何故かピースサインを向けられ小さく舌打ちした

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