【sior】完璧ケーキの甘い誘惑

０話．発覚 ページ2

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この世界では１２〜１３歳の時に
種族検査というものが国の法律の元、行われる






「まじだるー」


母「仕方ないでしょ、義務なんだから」






中学校に入学してから二週間の間に
必ず病院に行って検査をしなければならない

３日前に検査をしたので今日は結果発表の日だ






「仕方ないけどさ、平日に行こうよ〜」


母「だめ、それを口実に休みたいだけでしょ」






わざわざ休日に行くんじゃなくて
平日にしようよと車の中で駄々を捏ねていたのだ






「どーせ『一般人』に決まってるって」


母「そんなのわからないでしょ」






この世界では性別の他に３つの種族で分けられる



圧倒的強者の食べる側『フォーク』

無残にも食べられる運命にある『ケーキ』

２つの種族の弊害に関係ない平凡な『一般人』



Aの家族は揃いも揃って一般人なので
きっと自分もそうだろうと思って疑わなかった






母「ほら、着いたから降りて行くよ」


「はいはーい」






スマホをポケットに突っ込んで車から降りる

病院に入り、受け付けの人と話をすると
何故かまだ行ったことのない談話室に案内された






担当医「こんにちは」


「こんにちは〜」






軽く挨拶をすると母の隣の椅子に座る






担当医「検査結果なのですが…」






担当医はテーブルの上に検査結果の書類を置いた

母がそれを手に取って横から覗き込む






「え、私『ケーキ』じゃん」


母「ほんとだ…」






担当医から話を聞くと一般人の両親から
ケーキの子供が産まれることが稀にあるらしい






担当医「お気を確かに」


母「えぇ、すみません」






母は気が動転して手が震え始め書類を落とした






母「Aが『ケーキ』だなんて…」


「私もびっくりだよ」






社会的弱者である『ケーキ』だと
分かっても特に嘆いたりせず素直に受け入れる

Aは仕方ないことだと割り切っていた






母「どうすれば、私はどうすればいいですか」


担当医「出来る限り公言しない方が良いかと」






『ケーキ』だと周囲に知られたら
迫害されて本人が傷付く可能性が非常に高い






担当医「ご家族以外には偽った方が良いです」


母「わ、わかりました」






事の重大性が分かっておらず
何故こんなにも母が慌てているのか理解できない






母「A、『一般人』と偽るのよ」


「…わかった」






母の必死の剣幕に押され
これから『一般人』と偽って過ごすことになった

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