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「 すみませんっ、遅れました! 」




HIRO 「 いや、全然大丈夫だよ。こっちもバタバタしてて遅れてきてくれてありがとう 」





やっぱり生で見るHIROさんは漢らしくて、

少しだけ近寄り難いような雰囲気を纏っている。

と、思っていたのは最初だけで

今となっては何でも話せる優しい上司。

何度も何度も異動を断っていた私を一度も見放すことなくずっと頼み込んでくれた。







「 今日から本当にこの部屋使っていいんですか? 」




HIRO 「 もちろん。ここはAさん専用の部屋として用意させてもらったから。 」




案内された部屋は事務所の一角にある部屋。

部屋の設備としては本当に最高でここに住みたいくらいだった




「 でもなんでこんなに良くしてくださるんですか? 」




HIRO 「 うーん、なんとなぁく新垣君に聞いたんだ。Aさんの両親のこと。 」





「 ····っ、」





新垣さん、そんな事まで話してたなんて、、、




HIRO 「 同情しているとかそんなんじゃなくて、その、俺の友人にも似たような境遇の子がいてさ 俺、その子になんもしてあげられなかったんだ。」




「 どういう、ことですか? 」





意味深な発言をしたHIROさんは眉間に皺を寄せた



HIRO 「 友人の両親は借金を残したまま亡くなってしまったんだ。まだ中学生だった。借金を返すために高校には進学せず、中卒でありながらも必死に建設関係の職場で働いてたよ。それでもあいつは自分の店を開くという夢を捨ててなかった。 」





HIROさんの瞳には涙が溜まっている

その涙を零さぬようにHIROさんは瞬きを一切しない





HIRO 「 毎日今日はこんなことをした、あんな仕事もしたんだぞって連絡が来ていて ある日初めて俺が返信しなかった。悪戯とかじゃなくてその連絡に気づかなかったんだ。数時間後に返したけどその日を境にあいつから連絡が来ることはなくて、来たと思ったら警察からだった。」







ついには、HIROさんの目から涙が流れ落ち始めた





HIRO 「 あいつ、寝ずに俺からの連絡を待ってたんだよ。睡眠不足と日々の過労で倒れたところを高いところから木材が落ちてきて下敷きになってしまったんだ。もし、あの日俺が連絡していたらあいつは死ぬことは無かった。今もきっと生きていて、夢に向かって頑張っていたのに。」







知り合って間もないのに私なんかに、

HIROさんの過去を聞く資格なんてあるのか









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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2021年3月24日 23時

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