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光弥に煽れる勝己だが、その挑発には乗らない。
彼は今、人生で1番冷静なのではないかと思えるほど落ち着いている。
ただゆっくりと光弥に近付いていく。
「てめぇはホントにこれで良いのかよ？」
「だからさっきからそう言ってんじゃん。しつけぇなぁお前も」
「じゃあ、アイツの事ももういいのかよ？」
「アイツ？あーデクの事？アイツなら大丈夫でしょ。アイツは勝手に強くなるし友達も仲間もいんだから。それにお前もいる」
「…違ぇよ。デクじゃねぇ」
「じゃあ誰？」
「…音無永杜だ」
「っ」
光弥の表情が一瞬にして歪んだ。
彼の目の前に来た勝己はガッと強く肩を掴み、真剣な眼差しで彼を見下ろす。
だが、光弥は顔を下に向けているため勝己とは視線が合わない。
それでも勝己は口を開いた。
「音無永杜の事をよく知ってんのはお前だけだ、光弥。もしお前がここから出なけりゃ、現実の世界でソイツを知ってる奴は居なくなんぞ？それでも良いのかよ？」
脅しに近いような勝己の発言。
弱点が無いように思われる光弥の弱点は2つある。
1つは弟である勝己。
もう1つは光弥の人生を変えたとも言える、音無永杜。
弱点である勝己本人が言っても動かないのであれば、必然的に音無永杜の名が上がる。
姑息な手かも知れないが、それはもう致し方ない。
ここまでしなければ光弥を現実に引き戻す方法がないのだから。
それに何より、光弥の心にちゃんと響いているのだから。
「………めだ……そんなのダメだ。そんなの、ダメに決まってる」
顔を上げた光弥の頬には冷や汗が流れており、勝己と同じ赤い瞳がゆらゆらと歪んでいた。
次の瞬間、周りの景色が一変した。
何度も見慣れている光弥の部屋からどこかの交差点に移り変わったのだ。
「ンだここ…！？」と、勝己が驚いていると、いつの間にか肩を掴んでいたはずの光弥が消えていた。
「っ光弥！どこ行った！？」と勝己は叫びながら周りをキョロキョロしながら進む。
そうすれば少し先の横断歩道の所で、片膝を付いてしゃがんでいる光弥が見えた。
勝己は小走りで彼に近付いた。
「おい光弥、なにして「死んだんだ」……は？」
「ここで、永杜は死んだんだよ」
そう言って勝己の方を見上げた光弥の表情は、"無"だった。
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もっちりパンダ(プロフ) - マジ最高です!更新楽しみに待ってます。頑張ってください! (2月29日 22時) (
レス) @page8 id: 55730a40a9 (このIDを非表示/違反報告)
ミラこ - 1日で一気に読みました！面白いし感動するし最高です！更新待ってます！ (10月9日 10時) (レス) @page6 id: 70229c7aa2 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - あとちょっとでこの作品が終わってしまうと思うとすこし寂しさもありますが、ラストがとても気になります、、！更新楽しみにしてます (7月18日 23時) (レス) @page3 id: 93afb517a4 (このIDを非表示/違反報告)
ハコ28 - 続きを楽しみに待ってます！ (2023年5月3日 12時) (レス) id: 4a04534ded (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2023年4月30日 21時
