５９話 無意味な人生 ページ1
＊
ふらつく足で後ろへ退る光弥だが、先程自分が座っていた岩に背中が着いた。
これでもう後ろへは退れない。
右か左のどちらかに動けば済む話なのだが、彼にはもうそんな気力は無い。
俯いて虚ろな目で地面を見つめている。
＿＿このままだったら勝己に手、掴まれちゃうな。はぁ…何で今なんだよ。何で今俺を理解するんだよ。あークソ。けど、このまま掴まったところで俺に未来なんて無い……ならいっそ死ぬか？あーそうだ死のう。死んでアイツに…永杜に謝んねぇとな…
《光弥》
「！」
突然、永杜の声がし、光弥が顔を上げた。
すると、勝己の真後ろに姿が少しぼやけている永杜が、優しい目で彼を見ていた。
"何でお前が"と光弥は困惑の表情を浮かべる。
《光弥…もういい。もういいんだ。俺の為なんかに生きなくていいから。自分の為に生きてくれ》
＿＿違う…違うんだ永杜！俺はお前を見殺しにしたんだ！俺の生きる意味を作る為に…！こんな最低な俺が、
《例えそうだとしても、俺はお前に生きて欲しい。だってお前は、俺の
＿＿っ！違う違う！こんなの全部幻だ！こんなのっ…俺が言って欲しいだけだろｯ…ただ自己肯定したいだけだろ…！
《それは違うぞ光弥。これは俺の本音だ。お前には生きて欲しい。俺の為だとかじゃなくて、自分自身の為に。だから光弥、死なないでくれ》
＿＿っ！
そう言った瞬間、永杜の姿は煙のように消えていった。
彼に『死なないでくれ』と言われた光弥の表情は"無"である。
もう何も感じない。全てを諦めきったような表情だ。
だが、こんな表情になるのは必然だったのかもしれない。
何故なら彼にはもう、生きる意味も死ぬ意味も無くなってしまったからだ。
＿＿自分の為に生きろとか…どうしろって言うんだよ。俺はお前の為に生きてたのに…いや、違う。そんなのただの俺のエゴだ。俺にはまだ生きる意味があるって思いたかっただけの……でもそれはもう無くなっちまった…なら死ぬか？いやダメだ。死ぬ意味も無くなった。ならどうする？…あーそうだ。お前の手を掴めば良いのか…そうすれば楽になれるかもな…
光弥が勝己に向かって手を伸ばした。
それに一瞬驚く勝己だが、そのまま掴もうと精一杯手伸ばす。
2人の手が届くまで、あと数cm＿＿
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真昼 - 下のコメントの名前「明日香」になっていますが、「真昼」の間違いです(⌒-⌒; ) (2023年4月3日 22時) (
レス) @page44 id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 更新されていて気付いたら叫んでいたそうです(〃ω〃) とても嬉しかったです！！無理しない程度に頑張って下さい！ (2023年4月3日 21時) (レス) id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
s a e(プロフ) - ゆっくりでいいので、投稿待ってます！ (2023年2月19日 22時) (レス) @page42 id: 2f57eaf439 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - ナツさん» お気になさらずに！省略すると分かんなくなっちゃうときってよくあるので大丈夫ですよ！作品の更新楽しみに待ってます！頑張ってください！ (2023年1月20日 22時) (レス) id: fd40c107eb (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - シオンさん» 指摘ありがとうございます！こちらのミスです、すみません！ (2023年1月20日 22時) (レス) @page42 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2022年2月19日 9時
