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「ごめんね。痛かったよね」
そう言って、緑谷がすぐさまその子を助けようと手を伸ばす。
だがその子は少し怯えて、立とうとはしない。
「立てない？大丈夫？」と緑谷がその子の両脇に手を入れた。
その時、その子が震えているのが分かった。
それは光弥も気付いた。
「ダメじゃないか。ヒーローに迷惑かけちゃ」
女の子が出て来た路地から、赤みがかった黒髪でペストマスクを付けた男性が出て来た。
彼を見た瞬間、光弥も緑谷も通形も、写真で見た死穢八斎會の若頭である治崎だと分かった。
「ウチの娘がすみませんねヒーロー。遊び盛りで怪我が多いんですよ。困ったものです」と治崎が微笑んだ。
緑谷の表情が強ばる。と、通形が彼にフードを被せた。
通形は緑谷の表情で治崎に怪しまれるのを防いだのだ。
その間、光弥もフードを被ったままで治崎を見つめる。
「その素敵なマスクは八斎會の方ですね。ここらじゃ有名ですよね」
「えぇ。マスクは気になさらず。汚れに敏感でして。3人とも初めて見るヒーローだ」
「そうです。まだ新人なんで緊張しちゃって。さ、立てよ相棒。まだ見ぬ未来に向かおうぜ」
通形は平然を装い、何とかこの場を切り抜けようとする。
しかし治崎も警戒している。
事務所はどこかと、治崎が尋ねれば、通形が「職場体験で色々回らせてもらってるんです」などと上手く返した。
通形は早くこの場を去るために、緑谷に「行くよ」と言うが、女の子が彼を離さない。
それに加え、「いかないで」と震えた声で言われたため、緑谷は動くことをやめた。
「あ、あの…娘さん怯えてますけど…」
「…叱りつけた後なので」
通形は余計な勘ぐりはよせと目で訴えるが、緑谷は引かない。
色々と治崎に尋ねる。その度に彼の顔色が悪くなる。
光弥は緑谷に対して、"馬鹿だな"と思ったが、獲物が目の前にいるこの状況をみすみす逃す訳にもいかず、助け舟を出した。
「すみませんねぇお父さん。うちの連れが色々と失礼を。でも俺も少し疑問なんですよ」
「…何がです？」
「子供ってのは、大人よりも感情豊かだ。嬉しいも楽しいも悲しいも。包み隠さずさらけ出す。でもこの子からは恐怖しか感じられない」
「……」
「ぶっちゃけあなた、この子の父親じゃないでしょ？」
その時、治崎の眉間にさっきよりも一層、皺が寄った。
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ARy - 好き (2023年5月3日 15時) (
レス) @page37 id: 20866609ad (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2021年12月25日 22時) (レス) @page38 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
あーりん - 私もこの作品にはまって一気読みしちゃいました！文を書くのがとても上手で読んでいてわくわくします！！更新頑張ってくださいd=(^o^)=b (2021年12月23日 18時) (レス) @page37 id: 86690bee99 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！これからも頑張ります！ (2021年12月14日 20時) (レス) @page31 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
紫霊 - 一気に読みました!!!とても素敵なお話ですね。これからも頑張ってください(*^^*)光弥くんがヴィラン側に堕ちるのかヒーロー側に留まる(?)のかこれからの展開が楽しみです！！！ (2021年12月11日 18時) (レス) @page30 id: 84d5eb71dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2021年9月9日 18時
