４３話 エリ ページ35
＊
次の日の朝、光弥に話しかける者は誰一人いなかった。
皆、恐ろしかったのだ。彼に何か言われる事が。
何か言われても言い返せない、否定できないから。
光弥と彼らの間に、無意識に溝ができる。
しかし、光弥は意図的にそれを作っている。
だから気にしない。
いつも通りに起きて、いつも通りに朝食を済ませ、準備ができたらささっと、サー・ナイトアイの事務所に向かった。
「本日はパトロール兼監視。私とバブルガール。ミリオと緑谷と爆豪の二手に分かれて行う」
「監視…」
「ナイトアイ事務所は、今秘密の捜査中なんだよ」
「"死穢八斎會"という小さな指定ヴィラン団体。ここの若頭、所謂No.2である治崎という男が妙な動きを見せ始めた。ペストマスクがトレードマークだ」
サー・ナイトアイが資料と治崎の写真を光弥達に見せる。
緑谷がその写真を手に持ち、色々と考える。
そんな中、光弥だけが、"ビンゴッ…！"と表に出さず感情を高ぶらせていた。
"ここを選んで正解だった。まさかこんなタイミングで死穢八斎會に近付けるなんて。あの人には突っ走るなって言われたけど、これは不可抗力だし、偶然だから許してくれるだろう。そしてあの写真の男が、恐らくオーバーホール。ﾊﾊｯなんてツイてるんだ"
「我がナイトアイ事務所が狙うのは奴らのシッポ。くれぐれも向こうに気取られぬように」
「「「イエッサー！」」」
高揚している光弥に誰も気付くことはなく、パトロール兼監視が始まった。
光弥達が道を歩いていれば、近くにいる人達がコスチュームを着ている彼らを見て、「ヒーローだ」と興味を示す。
そんな周りの目が嫌で、光弥はフードを深く被る。
「そういやさ、ヒーロー名聞いてなかったよね。お互い」
「あっ…た、確かに。デクです」
「デク？木偶？いいのそれ？」
「いいんです」
「俺はルミリオン。全てとまではいかないが100万、オールではなくミリオンを救う人間になれるようにルミリオンと命名した。それで君は？」
通形が光弥に聞いた。
光弥はなんだったっけ？と、思い出す。
"…あぁ、思い出した"
「…空白です」
「空白？何だか君ら、不思議なヒーロー名を付けたね。まぁとにかく、コスチュームをまとって街に出れば俺たちはヒーローだ。油断はするなよ、デク君。空白君」
それから数歩歩いた所で、緑谷が白髪の女の子とぶつかった。
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ARy - 好き (2023年5月3日 15時) (
レス) @page37 id: 20866609ad (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2021年12月25日 22時) (レス) @page38 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
あーりん - 私もこの作品にはまって一気読みしちゃいました！文を書くのがとても上手で読んでいてわくわくします！！更新頑張ってくださいd=(^o^)=b (2021年12月23日 18時) (レス) @page37 id: 86690bee99 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！これからも頑張ります！ (2021年12月14日 20時) (レス) @page31 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
紫霊 - 一気に読みました!!!とても素敵なお話ですね。これからも頑張ってください(*^^*)光弥くんがヴィラン側に堕ちるのかヒーロー側に留まる(?)のかこれからの展開が楽しみです！！！ (2021年12月11日 18時) (レス) @page30 id: 84d5eb71dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2021年9月9日 18時
