9月1日 ページ39
それと、私には今日、するべきことがある。
毎年、1年に1回だけ行く、ある場所。
9月1日、私の幸せが終わった日。
あの日、お母さんとお父さんが、死んだ日。
それが、今日。
「今日、有給もらって良いですか？」
「嗚呼、行ってこい。お前が居ない分の穴は埋めておく」
命日には、お墓参り。本当は毎日行きたいけど、1年に1回って決めてる。
毎年のことだから、国木田さんも了承してくれた。
寮に戻って、財布とスマホを持つ。A組の皆は始業式だからもちろん居ない。
そして、電車に揺られること約30分。
ヨコハマに着いた。
私が生まれ育った街なのに、酷く懐かしい感じがする。
電車から降りて徒歩20分。
人の気配がしない、静かな場所。
耳をすませば鳥の鳴き声が聞こえ、木の葉と葉が擦れ合う心地良い音。
大きな木の下。木漏れ日がキラキラと輝く場所に、お母さんとお父さんが、居る。
生きていた時と同じように、2人並んで。
墓石なんて目立つ物はない。
お父さんの幼馴染さんが、作ってくれた、お墓。
お父さんの過去は、公に成ってはならない事。そしてお父さんとお母さんが殺されたのは、お父さんの過去が理由。後に聞いた話だけど、裏社会と繋がってたらしい。だから目立つような弔いは出来ない。
表向きは、『強盗殺人』。
実際は『暗殺』。
私は死んだ事に成っているらしい。
でもお父さんの幼馴染さんだけは、私が生きている事を知っている。
探偵社に拾ってもらってから、幼馴染さんに全てを説明した。
この事は内密にする、と約束してくれた後、このお墓の存在を教えてもらった。
『埋めるだけになってすまない。もっと丁重に弔いたかったんだが…』と謝られたけど、安らかに眠りにつかせてくれている幼馴染さんには感謝しかない。
お墓の近くにしゃがんで、お母さんとお父さんが眠っているであろう土を撫でる。
冷たい。段々と冷たくなっていくお母さんとお父さんが思い出されて、泣きそうになった。
「お母さん。お父さん。今年も来たよ」
「毎日楽しいよ。二人の分も生きてる」
「探偵社にね、新人が入ったよ。敦くんって言うんだ」
「新しい依頼もしてる。だから私、今高校生なんだ。びっくりだよね、20歳にまで成って」
「20歳に成ったから、お酒飲めるように成ったよ。二人と飲みたかったな」
周りには沢山の人達がいる。でも…
「お母さんとお父さんが居ないと寂しいよ…」
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死にたいアリス - なづさん» はい。それに久作くんの異能力聞かないし。あとフィッツジェラルドが行方不明になった時も｢寝る｣しか言ってないし。 (2017年10月27日 22時) (
レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
なづ(プロフ) - 死にたいアリスさん» コメントありがとうございます！ 確かに…！さすがの与謝野先生でも、すぐに回復(再生？)されちゃったら、きりが無いですしね！ (2017年10月23日 16時) (レス) id: 4a689cbfa4 (このIDを非表示/違反報告)
死にたいアリス - 文スト最強はラヴクラフトでしょ。 (2017年10月22日 19時) (レス) id: c1c1a5cea8 (このIDを非表示/違反報告)
なづ(プロフ) - ぐじゅぇりさん» コメントありがとうございます！ そうでした、エスパーでした( ﾟдﾟ)ﾊｯ! 与謝野先生、最強説浮上中 (2017年10月20日 18時) (レス) id: 4a689cbfa4 (このIDを非表示/違反報告)
ぐじゅぇり - 与謝野さんはエスパーだろ？ (2017年10月17日 17時) (レス) id: f643507f9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なづ | 作成日時：2017年8月23日 18時
