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そう、視線すら。
俺より背が高いのに何故か上目遣いになるあの目は、俺が家に押し掛けて以来こっちを見ることは無くなってしまった。
避ける、というよりはまるで俺が見えてないような。
"さよなら"ってそう言う事だったの?
あの言葉の意味に気付いた時にはもう遅くて。
「ちょっとぉ、話聞いてる?」
そう言って下から覗きこむ彼女にはっとして、取り繕うように笑顔を見せる。
やばい、せっかく機嫌良くなってきたのに、ここに来た事が水の泡になってしまう。
気を引き締めて彼女に精一杯意識を向けようとしても、一度伊野尾ちゃんの事を考えると中々止められなくて。
そもそも前回皆で来た時の思い出が強すぎて、どこを見ても伊野尾ちゃんの事が頭にちらつくんだからどうしようもない。
このアトラクションだってそうだ。
俺と伊野尾ちゃんにとっては結構チャレンジした方で、皆にからかわれながらも二人でくっついて手を握り合って乗ったんだっけ。
伊野尾ちゃんの手、手入れの行き届いた女の子みたいに綺麗で華奢で、それを言ったら顔を赤くして照れる顔が本当に女の子みたいだな、なんて思ったんだ。
今では幻のように感じる思い出をついつい思い返してをいると、するりと俺の手に何かが触れる感触。
思わずバッと手を払うと、目の前にはショックと怒りを滲ませた彼女の顔、そして行き場を無くした小さな手。
あぁ、やっちゃった。
今すぐその手をぎゅっと握りしめなきゃいけないのは分かってるのにどうしてもそんな気分にはなれなくて。
「あ、ごめん‥。ちょっと暑くてさ。」
上手い言い訳が1つも浮かんでこない自分へ、苦笑いするのがやっとだった。
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けーまま(プロフ) - お魚林檎さんの書くやまいのがすごく好きです。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: ec2812ad48 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱっぱ(プロフ) - コメント失礼します!お魚林檎様のお話めちゃくちゃ好きです!長くなってもいいので続き読みたいです(>_<) (2018年11月8日 16時) (レス) id: e47f1458b3 (このIDを非表示/違反報告)
お魚林檎(プロフ) - しゅみんさん» しゅみん様、お久しぶりですー!いつもいつもコメント頂きありがとうございます!本当に更新せずに申し訳ないです。これから少しずつでも頑張っていこうと思ってますので、またよろしくおねがいします(^-^) (2018年11月8日 15時) (レス) id: d578971ad8 (このIDを非表示/違反報告)
お魚林檎(プロフ) - りょうかさん» りょうか様、初めてまして!コメントありがとうございます!夢を見てるのかと思わせてしまう程に更新が止まっていて本当にすみませんでした‥こんな駄文をずっと読んでいてくださり感謝してます!これからもどうか何卒!よろしくおねがいしますm(__)m (2018年11月8日 15時) (レス) id: d578971ad8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅみん(プロフ) - お久しぶりです!!更新の通知でなんだろう、と思って占ツクきたらお魚林檎さんで本当に嬉しかったです(*^^*)過去のお話を読み返したりしてずっとお待ちしてました!新しいお話も続きが気になるところで…楽しみにしてますね★ (2018年11月5日 13時) (レス) id: 3becace49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お魚林檎 | 作成日時:2017年10月2日 1時