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「…やまだ」
まるで現実逃避のように思い出に浸る俺の意識を、伊野尾ちゃんの声が呼び戻す。
「山田、顔、治ってよかったね」
「うん。」
「彼女も安心してるんじゃない？元のイケメンに戻って。」
「あぁ。…もう別れたから。」
そういえば、彼女と別れた事言ってなかったっけ。
あんなに隠していたのに、今となってはもうどうでもいい事だ。
「‥なんで？」
「なんでって。‥聞いてたでしょ、俺は伊野尾ちゃんが好きなの。」
「っ、それ、本気なの？」
「冗談でこんな事言わない。」
言えないよ、冗談なんかじゃ。伊野尾ちゃんとの関係が終わってしまうのに言えるはずない。
俺の言葉を聞いて、伊野尾ちゃんはまた少し動揺しているようだった。
膝を抱える白い手に力がこもり指先が桃色に染まる。
「山田、」
「ん？」
「山田、やめようおれ達。」
「…。」
「セ ックスだけの関係なんて、もうやめにしよう。」
それは俺もずっと前から思っていたのに、いざ言われると息する事を忘れる位の衝撃で。
ショックで、悲しくて泣きだしたい。
でもどこか奥の方で、伊野尾ちゃんから言ってくれた事をほっとしている自分もいた。
だって俺には、この関係を終わらせる事なんて出来そうにも無かったから。
罪悪感や虚しさで擦り減っていく心はもう限界だったのかもしれない。でも、そうしてまでも一緒に居たかったのも事実なんだ。
「‥そうだね。」
やっと口から出た声は酷く頼りなく震えたけどこれが俺の精一杯。
だけど次に聞こえてきた伊野尾ちゃんの声は、俺以上に震えていて。
「それでね、それで、、。今度からはおれの事だけを見て欲しいの」
「え？」
「身体だけなんてもう嫌なの。
彼女の所へ戻る背中も、もう見たくない。
だからおれを、山田の恋人に、してくれませんか？」
"お願いします。"消え入りそうな声でそう言って、膝に顔をうずめたまま動かない彼を見つめる。
俺はと言えば、突然過ぎて頭がついていかない。
信じられない、からかわれてるの？
でも、唯一見えている耳が見たこともない位真っ赤で、それが真実だと教えてくれる。
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お魚林檎(プロフ) - まあさん» お久しぶりですー！またコメントいただきありがとうございます！まあ様のコメントはいつも暖かくて、本当に嬉しいです(*´ω｀*)これからも更新頑張りますので、妹さんと一緒にまた読みに来てくださいね(о´∀`о) (2017年3月15日 0時) (
レス) id: 2737369592 (このIDを非表示/違反報告)
seon(プロフ) - 微笑ましいやまいのですね！素敵な話ありがとうございます！裏も欲しくなりますね( ´∀｀) お体に気をつけてください！ (2017年3月14日 1時) (レス) id: f06d3b4aab (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - お魚林檎さん(^^)お久しぶりにコメント失礼します！このお話もとーっても素敵です！今回も妹と読んでました！2人の幸せな姿が想像できて、私たちまで幸せな気持ちになれましたp(^^)qお身体には気をつけてくださいね！ずっと応援しています！ (2017年3月13日 15時) (レス) id: 63cc103689 (このIDを非表示/違反報告)
お魚林檎(プロフ) - 衣未さん» 私なんかの心配をしていただいて本当にありがとうございます！かなり久しぶりで本当に参っちゃいました(;^ω^)暖かいコメント、本当に感謝しております！衣未様も季節の変わり目で体調崩しやすい時期なので、くれぐれもお気を付けくださいね(*^^*) (2017年3月7日 23時) (レス) id: 4d81958c5b (このIDを非表示/違反報告)
お魚林檎(プロフ) - しゅみんさん» そうなんです、10年以上ご無沙汰だったため予防接種すら受けてなくて…こんな短い話を長々と引っ張ってしまって本当に申し訳ないです( ;∀;)いつも暖かいコメント、本当にありがとうございます！しゅみん様も季節の変わり目、体調崩されないようにしてくださいね(^^) (2017年3月7日 23時) (レス) id: 4d81958c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お魚林檎
| 作成日時：2017年2月15日 17時
