秋。それは黄色のようで【sho】 (ページ6)

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行ってしまった鬱くんを目で追っていると、鬱くんが彼の見えないところで、ウインクをした。
私も、彼も、鬱くんの罠にハマってしまった訳か……
そう思う。

「A、大先生になんもされんかったか？」
心配そうにこちらを見る

『うん。大丈夫だよ。』

ほんまにかぁ～?!
と彼が言う。
それに、ほんとだよ。
と返す。

あれ、鬱くんが言おうとしてたのなんだったんだろう……
彼がこっちを向いて、手を振っているのを私に知らせたあと、なにか言おうとしてなかったっけ？
まぁ…鬱くんに聞けばいいか。
なんて考えるのを放棄する。

｢……？A……？A！！｣
彼が、大きい耳に届きやすい声で私の名前を叫ぶ。

どうしたの？
そう言う前に、彼の手が私のおでこにスっと合わさっ
た。
あ、ひんやりとしてて気持ちいい
そう思った。矢先、大きい声で彼が怒る。

｢ちょっ!!A！？熱あるやんけ！なんで休まんの！？｣
そう彼の口から言われた瞬間。

熱があるのだと自覚した。

ああ、この季節は、本当に好きだ。
だって__
その先を、思うより、先に彼が私を抱える。

｢先生！Aが熱あるから、保健室行ってくる～!!｣
いつもの倍以上の声が出てる。

少し、頭に響く。

私を抱えた彼は、私を揺らすまいと駆け足で保健室に向かっている。
彼に、こうやっていつも以上に優しくされることが、心地よくて……

保健室に着く前に、眠ってしまっていたようで。