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「ん…。」
目が覚めると車の中だった。
私、どうしてたんだっけ…
「起きた？」
「石田先輩…？」
隣に座る石田先輩を見て、はっと思い出す。
確かあの時、石田先輩に会って、
皇子山さんからの電話に出て
そしたら首に傷みが…
「もしかして、先輩がここに？」
「そうだけど？」
笑顔でそういう先輩はとても怖かった。
「なんの為に…」
「Aが好きだからだよ。」
「え？」
「交番時代の頃から好きだったんだよ。
俺がこんなにも想ってるのに
俺以外の男と仕事してたろ。」
いや、そっちの気持ちなんて知らないし。
男の人と仕事だってそりゃあるだろ。
そう言ってやりたかったけど
恐怖で声が出ない。
「なぁ、お前は俺だけ見てりゃいいんだよ。
な、これからは一緒にいよ。」
「…ですよ。」
「ん？」
「先輩、キモイですよ。」
石田先輩…いや、
石田が真顔でこっちをじっと見つめる。
「こんなことしたって、
私はあなたのものになりません…」
震える声で言う。
「別にお前の意見は求めてないけど。」
「は？」
ガタン
隣に座っていた石田が
私の座っていた座席を倒し
石田がその上に乗っかる。
「ちょっ、何するんですか！！」
「だから、俺のもんにするんだよ。」
そういって石田は私の着ていた
ブラウスをひきちぎる。
「いやっ！」
このままじゃまずい。
だけど石田を押しても男女の差。
石田はどいてくれない。
「無駄だって。諦めなよ。」
不敵な笑みを浮かべる石田。
どうしよう、本当にやばいって。
こういう時、えーっと…
.
【いいか。もし押し倒されたら
膝でそいつの腹を蹴るんだ。】
【先輩で試してもいいですか？笑】
【なんでだよ、やめろ。笑】
.
交番勤務時代のころ、元先輩の
石田に教わったこと。
成功するかわかんないけどやるしかない。
どがっ
「うっ、がはっ」
お腹を抑えて隣の席でうずくまる。
自分で教えたことだから
てっきり対策してると思ったのに…
この隙に車を出て駐車場を駆け出す。
だがしかし余裕があったのもこれまで。
再び石田に捕まり、さっきと同じように
押し倒され、上に乗られる。
だけどさっきと違うのは石田が
包丁を持ってること。
「俺のもんにならないんなら…死ねよ。」
石田が包丁を振りかざす。
終わった。
私はぎゅっと目をつぶる。
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作者名：ハムサンド | 作成日時：2019年1月7日 1時
