7. ページ7
お師さんside
声を荒らげていたあの日以降、ただ静かになった。
『いただきます。』『ごちそうさま。』
これだけは欠かさず、必ず、言葉に出していた。
俺はこの子がここに来た目的、呼吸について何も教えなかった。
まだ身体も未熟な子どもにそんな重荷を持たせる訳にはいかないと、そう思っていた____。
だが、何度止めても、毎日、日が昇る前から重みのある木の棒で素振りをし、
昼は出掛けると言って山を走り回り、
夜ご飯を食べ終わった後も、月が真上に登るまで腕立て伏せや腹筋をするのだ。
まるで俺に見せつけるように__教えてくれと言わんばかりに。
とうとう俺の心はあの子の懸命さに負けてしまった。
そこから俺はあの子に血反吐吐くほど剣術を、私が扱う風の呼吸を教えた。
ただ一つ難点だったといえば、あの子が風の呼吸には適さなかったということだ。
一の呼吸、二の呼吸と出来るもののそこからは何度練習しても何度見本を見してもできなかった。
でも、それでも十分と言えるほどあの子は強かった。
お師さん「…(じゃあ__いってらっしゃい)」
俺は剣を渡し、結局それからも喋ってくれなかったあの子を見送った。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛織 | 作成日時:2021年9月8日 20時