5-8.アイドル(仮)は夢を見る ページ8
｢ホントは嫌なんだよなぁ…他のサーヴァント探さない？今からでも遅くねぇって……ダメ？ダメか…｣
前を行くロビンは終始この調子だったけれど、何だかんだ目的地まで案内してくれた。
街に着いた私たちを出迎えたのは、何故か弱りきったケルト兵たち。
当然のように難なく蹴散らして進んでみて、やっと色々な理由が分かった。
｢フンフンフフーン♪ブタども、盛り上がってるー？｣
重ねた木箱のステージに立つアイドル(仮)に、そこら中で苦しげに倒れているケルト戦士。
もちろんコール＆レスポンスは成立しない。
何か生贄を使った儀式でも行われているのかと思うほど、凄惨な現場がそこにはあった。
｢うわ、まだ歌ってんのか…｣
ロビンが現実から目を背けながら呟く。
そう、彼女こそはエリザベート・バートリー。
私たちが求めているランサーだ。
エリザベートは弱ったケルト兵に尚も美声(仮)を聞かせ続けている。
このまま待っていれば勝手にケルト兵は全滅するだろう。
ただ、今は時間が惜しい。
エリザベートの説得をマシュに任せ、残ったメンバーで掃討戦を開始した。
｢さっさと終わらせて、アタシだけのブロードウェイを立ち上げるんだから！見てなさい、子イヌ！｣
｢うん、がんばれー｣
にっこりと微笑むマスター。目は笑っていない。
エリザベートを仲間に加え、次なる目標はセイバー。
またまた気乗りしない雰囲気を醸し出すロビンの案内で、私たちは無人の街へ辿り着いた。
｢…ん。ちょいと物騒な気配がするな｣
街の入口で足を止め、ロビンが呟いた。
｢敵さんが来てるかもしれねえ。オレが先行するんで、アンタらは後からついてきてくれ｣
そう言って、彼はフードを目深に被って姿を消した。
後から、と言われてもどのタイミングで動き出せばいいんだろう…
そんな私の心を見透かしてか、ビリーがニコニコ笑いながら言った。
｢そろそろいいんじゃない。アイツの足なら、もうセイバーの所まで辿り着いてるよ｣
｢えっ、まだ10秒も経っていませんが…｣
｢いいからいいから。走らないと間に合わないかもよ？｣
長らく2人で戦っていたからこその信頼感なのか、ビリーはもたつく私たちを置いて走り出してしまった。
慌てて私たちも後に続いた。
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