5-7.次の一歩 ページ7
ナイチンゲールの登場で戦況は一気に追い風に変わった。
数の不利をものともせず、彼女が10人分くらいの働きをしたおかげで大方決着はついた。
そして後ろから走ってきた2人と1匹を見て、ここ数日で1番の喜びが込み上げてきた。
｢マスター、マシュ！フォウくんも！｣
飛び込んできたフォウくんを抱きしめ、2人とそれぞれ握手を交わす。
｢俺、正直今回ばかりは会えないかと思ったよ…｣
マスターの言葉に苦笑いしていると、彼の通信機から大音量の叫び声が飛んできた。
[そうだよ！A、キミ通信機落としてるだろ！？位置が全然動かないから、もしかして大怪我でもしたんじゃないかってボクら心配したんだぞぅ…！]
｢それはあの…本当にごめんなさい…｣
話によれば、あれはただの通信機ではなく、私の位置情報やバイタルなど諸々の情報収集を一手に担っている代物なのだとか。
物品管理には気をつけるようにっていつも言ってるよね？…と、ダヴィンチちゃんにやんわりと、でもしっかりと叱られた。
反省しつつ少ししょんぼりする私をマシュが慰めていると、ばつが悪そうな顔でグリーンがこっちを見ていた。
｢えー、感動の再会を邪魔して悪いとは思うんですがね？ジェロニモが話しかけづらそうにしてるからよ｣
｢すまないが、時間は限られているのでね。ビリーも戻ってきた所で、自己紹介がてらこちらの情報を伝えておこうと思う｣
ジェロニモの言葉通り、まずアーチャー2人が真名を明かし、その後ケルト側の状況を教えてもらった。
私には渋ってたのにマスター達にはすぐに真名教えるんだ…と思ったのは秘密にしておく。
私たちが取るべき行動は主に3つ。
ナイチンゲールに背負われた少年、コサラの王ラーマの治療。
グリーンもといロビンフッドが出会ったというセイバーとランサーの勧誘。
そしてケルトの王と女王の暗殺。
｢うん、やることが多いね！｣
シルバー改めビリー・ザ・キッドが満面の笑みでそう言った。
そう、やるべき事は山積みでしかも時間制限付き。
この特異点における最大の敵で、聖杯の持ち主とみられるクーフーリンを倒すにはラーマの存在が欠かせない。
つまり彼の治療が最優先。ではあるものの、その前に戦力の拡充が必要。
ということで、ロビンの案内でランサーがいるらしい街へと向かうことになった。
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