5-29.鋼鉄の白衣 ページ29
｢へえ、あれを乗り切ったのね。やるじゃない｣
何とかエネミーの包囲網を突破した私たちは、本来は大統領室だったであろう部屋を見つけ出した。
そこには当然、ケルト軍のトップである狂王クー・フーリンと女王メイヴが鎮座していた。
｢でもボロボロね。その状態で私たちに勝てるかしら？｣
邪悪な笑みを浮かべ、メイヴは鞭を手に近づいてきた。
｢クーちゃん。手伝ってくれる？｣
｢手伝うも何もオレの仕事だろうが。お前は下がってろ｣
｢そういうわけにはいかないでしょ？だって私は
クー・フーリンへ笑顔を投げかけると、メイヴは短剣を取り出して自らの指を傷つけた。
｢来なさい。私の戦士たち。何もかもを奪い、壊し、殺しなさい｣
指先から滴り落ちた血液は徐々に泡立ち、その血泡の合間からぞろぞろといつものケルト兵が現れた。
｢さあ、略奪の時間よ！｣
メイヴの号令と共にケルト兵が押し寄せる。
すかさず私は外に控えさせていた魔獣達を呼び寄せた。
｢っ……なんなのよ、それは！｣
異形の群れに流石のメイヴも目を見張る。
大軍と大群がぶつかった。
魔獣達は思い思いに噛み砕き、引き裂き、そして猛者の遺伝子を取り込んでいく。
あまりに異質な光景にマスターとマシュはたじろいでいた。
その様子を見たナイチンゲールが2人の前に立った。
｢治療を開始する前に…マスター。あなたは自分のサーヴァントを信じなさい。手段は違えど、皆あなたの助けになろうと戦っています。あなたが揺らいではいけない。よろしいですね？｣
｢…うん。ありがとう、ナイチンゲール｣
｢それからミス・マシュ。あなたは自分のマスターを、そして自分自身を信じなさい。あなたが屈しない限り、その盾が砕かれることはありません。何度倒れても立ち上がるのです。よろしいですね？｣
｢…はい！マシュ・キリエライト、いつでもいけます！｣
2人の返答に微笑むと、ナイチンゲールは私の方へ振り返った。
｢では始めましょう。救命の時間です｣
5-30.行動原理→←5-28.北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナム
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
