5-16.決行 ページ16
目的地──首都、ワシントンD.C.へ潜り込んだ時、私はその街並みに既視感を覚えた。
心当たりはある。
この北米大陸での最初の未来視で、似たような光景を見た。
つまり、私たちが狙うべきは…
｢なるほど、ケルトは
｢…ただいま戻りましたよ、っと｣
偵察に出ていたロビンが戻ってきた。
｢どうもヤツらパレードをやるらしい。戦争中だってのに、呑気なこった｣
｢戦争中だからこそ必要なのだ、アーチャーよ。王たる者、その威光を以て兵を鼓舞し、自国に勝利をもたらす。パレードとはそういうものだ｣
流石にローマ皇帝は違うな…と感心していると、｢羨ましい…余もパレードしたい｣という呟きが聞こえてきて台無しになった。
｢ロビン、サーヴァントの反応はあったか？｣
｢2騎だな。ま、オレの索敵範囲外に潜んでる可能性もなくはないが…｣
｢どうあれ、やるしかない。では最終確認を始めよう｣
ジェロニモが話している間、私は何だか浮き足立っていた。
暗殺に対する不安感から？緊張から？
…違う。
確かな理由は分からないものの、私はこれ以上ない胸騒ぎを感じていた。
私は大通りの隣の路地に潜んで様子を伺っていた。
もうすぐ作戦開始の予定時刻。
通りでは既にパレードが始まっており、かなり賑わっている。
神輿のようなものの頂点で手を振る女性。
さっき“メイヴ”という名前が聞こえた。きっと彼女がケルトの女王だ。
誰もが彼女に注目する中、そのすぐ近くで何かがはためいた。
｢お取り込み中のとこすいませんねー…行け、セイバー！｣
ロビンが『顔のない王』を解除し、すかさずネロが神輿に乗り移る。
歓声が一瞬でどよめきに変わった。
｢うむ、やはり注目を浴びるというのは良いものだな！しかし女王メイヴよ。貴様の天下はこれにて終わりだ！
春の陽差し、花の乱舞！皐月の風は頬を撫で、祝福はステラの彼方まで────｣
ネロの詠唱開始と共に待機していた私たちも飛び出し、神輿に這い上がろうとする兵士たちを払い落とす。
メイヴはロビンが牽制している。
｢──ゆくぞ！開け、ヌプティアエ・ドムス・アウレアよ！｣
刹那、辺り一帯が閃光に包まれた。
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