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結局中原幹部だけが私をAと呼ぶことになった。
完全勝訴とはいかなかったが、まあ許容範囲だろう。
ただ、違和感が半端じゃない。
今まで両親以外に名前で呼ばれたことなんて無かった。
だから、自分の名前が聞こえる度に一瞬だけ心臓が止まるような感覚に陥っている。
名前で呼ばれるだけで、こうも違うとは。
「A」
「っ…何ですか」
「手前、最近様子が変だぞ」
「中原幹部の目は節穴なんですか?いたっていつも通りですよ」
「ちょくちょく貶すな。それと俺の目は誤魔化せねぇぞ。いつから一緒にいると思ってんだ」
「2、3週間前です」
「真面目に返すな。そういう意味じゃねぇ」
頑張っていつも通りを演じているつもりだけど、何故か見透かされているらしい。
自分の所為であるとはつゆ知らず、中原幹部は私のことを本気で心配してくれているようだ。
…何だか、父親が娘を心配しているみたいだ。
そう伝えると、中原幹部は頭を抱えて「違う、そっちじゃねぇ…」と呟いていた。
「じゃあ母親なんですか?」と言うと、「そういう意味じゃねぇよ!」と怒られてしまった。
何故…
最初に彼奴を拾った理由は、身体能力や異能力が俺とよく似ていたからだった。
女のくせして俺を見下ろす形になるのは癪に障ったが、他は完璧だった。
仕事が出来る、礼儀正しい、戦闘能力が高く、頭の回転も早い。
おまけにルックスもいいと来た。
唯一欠点をあげるならば、隙を見て俺を貶してくるといったところか。
しかし、それさえ目をつぶれば本当に完璧な部下だった。
男女の友情とはよく言ったもんだ。
常に彼奴と行動して、話したり仕事をしたりしているうちに、俺の中で彼奴はなくてはならない存在になってしまっていた。
たった2週間程度で。
ほとんど一目惚れだ。
それに気づいてから、何かある度にいつも彼奴のことが気にかかるようになってしまった。
ただ、俺からこのことを打ち明けるのは俺のプライドが許さない。
だから彼奴を俺に惚れさせて、彼奴から告白させることにした。
手強いのは百も承知だ。
だからこそやり甲斐があるってもんだろう?
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いむいむ - お母さんすげえ… (2018年6月4日 17時) (レス) id: dc78839770 (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - お母さん怖い…いやまじでこえぇ! (2018年5月20日 2時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キドホ x他1人 | 作成日時:2018年3月14日 21時