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あの店には2度と行かないと決めた。

あの店にあんな助平野郎がいるなんて思わなかった。

誰があんなバーコード頭の嫁になるかっての!

冗談で言ったのはわかっているけれど、何故か無性に腹が立った。

不機嫌気味で通りを歩いていると、今度はお洒落な雑貨屋を見つけた。

リベンジ。


「中也さん、アクセサリー買って下さい!」

「はぁ?」


中也さんの言いたいことは分かる。

“手前、戦闘で動き回んのに邪魔になるだけだろ”的なことを考えている筈だ。

それは重々承知しているのです。

でも、私はマフィアの構成員である前に、1人の女の子なんですよ。

お洒落なアクセサリーの1つや2つ、持っていてもいいじゃないですか…!

…と、伝えた。


「…仕方ねぇなぁ」

「ありがとうございます!」


私は人生で1番美しいお辞儀で感謝を表した。


「で、どれがいいんだ」

「選んで下さい」

「またか?」

「中也さんが選ぶからいいんです」

「なッ…」


私をぎょっとした顔で見る中也さん。

え?何か変なこと言った?


「わ、わかった…」

「…?」


若干目が泳いでいたような気がする。

たぶん原因は私だけど、どの発言かは分からない。

何がマズかったんだろ。

…心做しか先刻の帽子選びよりも真剣に選んでいるのではなかろうか。

まぁそれはそれで嬉しいんだけど。


「…これはどうだ?」


そう言って中也さんが手に取ったのは金の鎖に十字架のモチーフが付いたネックレス。


「何ですかこの中2チックなネックレスは」

「だ…駄目か?」

「駄目とは言ってませんよ」


ただ、他にも色んなネックレスがあった筈だ。

ネックレスだけじゃない、他のアクセサリーだって。


「ちなみに何でこれにしたんですか?」

「何でって…“神”崎だから」

「…」


なっ…なんて安易なっ…!

思わず吹き出してしまった。


「悪いか!?」

「別に悪いなんて言ってないじゃないですかあははっ!」

「手前このっ」


中也さんが私の両頬をぐにぃっと引っ張る。


「いいいたいいたいごめんなさいごめんなさい」

「ったく人が折角選んでやったってのに…」

「勿論買いますよこれ」


私の言葉を聞いた中也さんはニヤッと笑って財布片手に店の奥へ入っていった。

私はそこで初めて温かい目で見守られていたことに気づいたのだった。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , ギャグ   
作品ジャンル:アニメ
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いむいむ - お母さんすげえ… (2018年6月4日 17時) (レス) id: dc78839770 (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - お母さん怖い…いやまじでこえぇ! (2018年5月20日 2時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キドホ x他1人 | 作成日時:2018年3月14日 21時

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