検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:35,428 hit

12 ページ14

次に着いたのは中華街。

流石に食べ物は食べられないから、雑貨などを見て回ることにした。

中也さんは常に周囲を警戒しているようだった。

軍警なのか、はたまた商売敵なのか…

どうでも良いけど…ちょっと気にしすぎだと思う。

折角2人きりで出掛けているのだ、どうせなら何も気にせず────

待てよ。

『2人きりで出掛けている』って…

これって、まるで…

そこで初めて今の状況に気づき、私は自分の鈍さを呪った。

みるみる顔が熱くなっていくのがわかる。

幸い、中也さんは私の後ろを歩いているから、前に進んでいる限りこの顔に気づかれる心配はない。

と、思う。


「A」

「ふぁい!?」


どうしよう、気づかなきゃ良かった。

呂律が回ってないし声も裏返った。

確実に不審に思われているだろう。


「…A?」

「はい、なんでしょう」


前を向いたまま答える。

鼓動が鳴り止まない。

顔も熱いまま。

ゴクリと唾を飲み込む。


「どうかしたのか?」

「いえ、何も」

「…何を隠してる」

「別に何も隠して────」


言い終わらないうちに私は肩を掴まれ、無理矢理後ろを向かされた。

自然に目が合ってしまう。


「っ…」


私の心臓はドラムロール並の速さで動き続ける。


「…熱でもあるのか?」

「ないですっ…」


しかし、中也さんは私の言葉を無視して私の火照った頬に手を当てる。

お、落ち着いてA。

自分より背の低い男は嫌じゃなかったの?

もっと背が高い人…

ほら、太宰さんとかの方がいいんじゃないの?

太宰さんの方が優しそうじゃない?

…なんてことを考えて冷静になろうとするものの、一向に冷静にはなれなかった。



私はトイレに行くという名目でその場を離れた。

幸い、トイレの中には誰もいないようだった。

個室には入らず、顔を洗った。

頭や顔を冷やすように、冷たい水で何度も洗った。

顔を丁寧に拭いてから、前の鏡を見る。

流石にもういつもの顔に戻った。

中也さんはその気で私を連れ出したんだろうから、私だってそれに応えなくちゃ。


「よし」


私は足早に中也さんの元へ戻っていった。

13→←11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , ギャグ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いむいむ - お母さんすげえ… (2018年6月4日 17時) (レス) id: dc78839770 (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - お母さん怖い…いやまじでこえぇ! (2018年5月20日 2時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:キドホ x他1人 | 作成日時:2018年3月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。