【文スト】重力使いは悪魔な部下に首ったけのようです (ページ13)

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｢着いたぞ｣

｢此処ですか？｣

｢まぁ…目的地の1つだ｣

長いドライブが終わり、辿り着いたのは1軒のカフェ。

｢朝飯食ってねぇだろ？｣

｢はい｣

まったく誰の所為だと思ってんだか…

そんな私の気持ちは置いといて、私達は海が良く見えるテラス席に座った。

｢奢るから何でも食え｣

｢えっまたですか？｣

｢今日1日は全部俺が出す｣

｢…｣

…しまった、また間抜けな顔に…

流石に気が引ける。

｢私にも少しくらい払わせて下さい｣

｢否、駄目だ。手前には一銭も払わせねぇ｣

｢…駄目ですか？｣

｢そんな顔しても駄目だ｣

｢…はぁい｣

何か…最近中也さん変だなぁ。

ま、食費が浮くからいいけど。

私が頼んだのはトーストとベーコンエッグ、そしてレモンティー。

中也さんはカフェオレ。

でも砂糖をドバドバ入れてるのを私は見逃さなかった。

甘党なんだ…

｢食べ終わったらまた何処か行くんですよね？｣

｢帰るのか？｣

｢いや…帰りませんけど…｣

さっきも“今日1日”って言ってたし、これだけということはないのだろう。

…ちょっと楽しみ。

私は次の目的地に思いを馳せつつトーストを頬張った。

｢そういえば、Aはどの辺りの生まれなんだ？やっぱヨコハマ近辺か？｣

｢そう…ですね。今住んでるアパートからは遠いですけど｣

｢ふーん｣

｢…今の本当に興味ありました？｣

｢え？｣

｢だってあんまり関心無さそうだったから｣

｢そう聞こえただけだよ｣

｢本当ですか？｣

｢あぁ｣

｢…ふーん｣

俺は前方を向いているものの、Aが俺をジト目で睨んでいるのが分かる。

可愛い。

…駄目だ、しっかりしろ。

俺が骨抜きにされてどうする。

今日は此方が仕掛ける日なんだろ…

と、自分に言い聞かせ続けた。

2週間程前から予定を確認して、お互いに丸1日仕事がない日が1日だけあった。

これは好機(チャンス)だと思った。

今までも色々やってきた。

コーヒーを奢ったり、パンを買ってやったり、焼肉を奢ったり────

…待て、食い物奢ることしかしてねぇじゃねぇか。

ということで今日は綿密に計画を立て、完全に彼奴をオトしにいくことにしたのだ。

計画通りにいけば今日でオチる。

…計画通りにいけば、な。