一番欲しいもの*2 ページ2
「お、やっぱり似合うな」
なんて彼は嬉しそうに笑う。その表情に、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ不覚にもときめいた。
「あ、ありがとうございます……」
「仕事のときもつけてろよ」
「いえ、そんな、こんな高級なもの受け取れませ――」
この人に抵抗したって無駄だ。私はそこでようやく気がついた。彼に指をとられてから。
中也さんは、私の手をとって、満足そうに見つめている。それから、手の甲にそっと口づけた。
「受け取っととけよ、な?」
上目遣いにそう言われると、私の口から出る言葉はただひとつを除いて無くなる。
「はい……、ありがとうございます」
「おう」
彼はまた、嬉しそうに笑った。その笑顔が眩しくて、眩しくて、私にはもったいないくらいで。でも、この笑顔は私のものだった。他の誰でもない、私の。
「中也さん」
「何だ?」
「大好きです」
そう言うと、中也さんは照れたのか、私の頭を撫でた。それでも、嬉しそうな笑顔は変わらないまま。
そんな彼の表情につられて、私も笑った。
―fin―
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作者名:雪の | 作者ホームページ:https://twitter.com/snow_snow_dream?s=09
作成日時:2018年10月7日 11時