54 お熱 ページ24
「本当に来ちゃったけど大丈夫かな...」
健さんのマンションの前まで来て、やっぱり坂本さんか長野さんが来た方が健さんも安心だったんじゃないかと思い始めた。
しんどい時には頼れる人の方がいいに決まってる。
「でももう来ちゃったし、よし。」
お弁当を届けるだけだし、と自分に言い聞かせて部屋番号を押して呼び出した。
しばらくして、インターフォンから健さんの声が聞こえた。
「...はい」
「あ、Aです。お弁当を届けに来ました」
「Aちゃん?今開けるね」
いつもよりちょっとかすれてて、だるそうな声をしていた。大丈夫かな?
オートロックドアが開いて、健さんのお部屋に向かう。
603号室の前に立ち、深呼吸してからインターフォンを押した。
中から足音が聞こえて、ドアが開く。
「ほんとにAちゃんだ」
「え?」
「熱あっから、夢かと思った」
確かに健さんはいつもより赤い顔をしていて、ちょっと息も荒い。
「そんな辛い時にすいません。これ、坂本さんと長野さんからのお弁当です」
「ありがとう」
渡す時にちょっと触れた手が熱っている。
「じゃあ、これで」
「帰っちゃうの?」
「健さん辛そうだし」
「...辛いから一緒にいてほしいって言ったらいてくれる?」
熱の時のうるうるした感じの目で見つめられて、一人暮らしの風邪は寂しいもんな、と思い返す。
て言うか、それはもうわたしが健さんのそばにいたい言い訳でしかない。
「じゃあ、ちょっとだけお邪魔していいですか?」
「ありがと」
へなって笑うと、玄関のドアを大きく開けて「どうぞ」とわたしを招き入れた。
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いちご(プロフ) - たすくさん» とても好きな作品です。いつか続きが読めることを心待ちにしております…! (2022年1月13日 6時) (レス) id: c0a7076b19 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - この小説本当に大好きです。たすく様の続けやすい更新頻度で頑張ってください。応援しています。 (2021年11月27日 13時) (レス) @page32 id: d2b1880b5d (このIDを非表示/違反報告)
さっぷる(プロフ) - たすくさん» 更新とご返信、ありがとうございます!今回も素敵なお話で、益々続きが楽しみになりました!ご自分のペースでゆっくり更新なさってくださいね〜! (2021年8月24日 2時) (レス) id: 0ad332718e (このIDを非表示/違反報告)
たすく(プロフ) - さっぷるさん» さっぷるさん、いつもコメントありがとうございます。やっと更新することができました。これからも楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年8月22日 23時) (レス) id: 33661927ce (このIDを非表示/違反報告)
たすく(プロフ) - NAOさん» NAOさん、コメントありがとうございます。そしてお久しぶりです。読み返していただいているなんでありがとうございます...!これからもちょくちょく更新していくので、楽しみにしてもらえると嬉しいです^ ^ (2021年8月22日 23時) (レス) id: 33661927ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たすく | 作成日時:2019年4月28日 17時