31 聞いたことある ページ1
新緑がだんだん深くなってきた頃、井ノ原さんは突然、「最近のAさん、よりキレイになったよね」と言ってくれた。
「ええ?そうですか…?」
「うん、岡田のとこで鍛えてるんでしょ?」
岡田さんのジムでトレーニングをはじめてから、汗をしっかりかくようになってきた。
睡眠もしっかりとるようにして、お肌の調子も前よりいい。
「やっぱり体動かすのはいいんだなぁって思います」
「ジム行くと実感した?」
「はい」
ははって笑って、ビールをひと口。
そんな井ノ原さんは友達の恋愛事情が気になるらしい。
「すごーくいい感じのふたりなのに、なんでかくっつかないのよ。なんでだと思う?」
「お互いに踏み出せない、とかですか?」
「なんだろーね。踏み出せばいいのに!絶対幸せが待ってるのに!」
ちょっとぷんすかしてる井ノ原さんは唇がだんだんとんがってきてなんか可愛い。
「早くくっつきなさいよー!」
「えー?なんで私に言うんですか」
酔っぱらいの井ノ原さん珍しいなーと思って笑ってると、「笑い事じゃないよ」と思ったより真剣な顔をして私を見てた。
「恋愛はタイミングだよ。いいなって思ってても、また後でなんて思ってたら誰かに取られちゃうよ」
テーブルに肘をよっかけて私の顔を覗き込みながら、そのまますやすやと寝始めた。
·
「あれ、井ノ原寝たの?」
奥に行っていた長野さんと坂本さんが出てきて、カウンターに突っ伏した井ノ原さんを見て言った。
「名言を残して寝ちゃいました」
「名言?」
「"恋愛はタイミングだよ。"って」
「恋バナ好きだからなぁこいつ」
このままにしといていいよって言われて、私も眠くなってきてたから先に帰ることにした。
夜も最近はひんやりしなくなってきた。
そろそろ冬物もしまっていいかな。
家に着いてテレビをつける。
アイスが食べたくなってキッチンに行くと、テレビから聞いたことのある声が聞こえた。
慌ててテレビの前に戻ると、画面越しには三宅さんが映っていた。
145人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちご(プロフ) - たすくさん» とても好きな作品です。いつか続きが読めることを心待ちにしております…! (2022年1月13日 6時) (レス) id: c0a7076b19 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ(プロフ) - この小説本当に大好きです。たすく様の続けやすい更新頻度で頑張ってください。応援しています。 (2021年11月27日 13時) (レス) @page32 id: d2b1880b5d (このIDを非表示/違反報告)
さっぷる(プロフ) - たすくさん» 更新とご返信、ありがとうございます!今回も素敵なお話で、益々続きが楽しみになりました!ご自分のペースでゆっくり更新なさってくださいね〜! (2021年8月24日 2時) (レス) id: 0ad332718e (このIDを非表示/違反報告)
たすく(プロフ) - さっぷるさん» さっぷるさん、いつもコメントありがとうございます。やっと更新することができました。これからも楽しんでいただけると嬉しいです! (2021年8月22日 23時) (レス) id: 33661927ce (このIDを非表示/違反報告)
たすく(プロフ) - NAOさん» NAOさん、コメントありがとうございます。そしてお久しぶりです。読み返していただいているなんでありがとうございます...!これからもちょくちょく更新していくので、楽しみにしてもらえると嬉しいです^ ^ (2021年8月22日 23時) (レス) id: 33661927ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たすく | 作成日時:2019年4月28日 17時