親愛なる君へ

オフ ページ7

「Aさん、明後日オフになったんだけどどこか行く？」
「お休みできたんですか！そしたら、昌さんのしたいことしてください」
「それはもちろん。俺はAさんと会いたいんだけど...どうかな？」

久々に声を聞きたいと思ってかけた電話で、Aさんは会えることよりも俺の休みを喜んでくれている。
なんでこんなに優しいかな。

「私も、本当は会いたいです」
「よかった。じゃあ...」



半日くらいは自宅でゆっくりしてくださいっていうAさんからの気遣いで、久々のお出かけは夕方から。行き先はイルミネーションドライブからのディナーになった。
ディナーって言っても、鍋がいいかな。あったまるものがいいな。
長野にいくつか候補挙げてもらって、そこから選んでもらうのもいいな。


色々考えながらその日を楽しみに過ごすと時間は早くて、あっという間にAさんと会う日になった。

車で家まで迎えに行って、電話をかける。
「Aさん、ついたよ」
「はい！今出ますね」

心なしか電話の声も楽しそうで、こっちまでますます楽しみになる。
車に駆け寄ってきたAさんは白い息ですごく寒そうだった。

「久しぶり。寒くなったね」
「ひゃ〜寒いですね！お久しぶりです！」
「手、真っ赤じゃん」

悴んだのか擦り合わせてる手を握ると、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

「昌さんの手、あったかいですね」
「Aさんの手、つめてぇ。...もしかして、外にいた？」
「あは、ばれちゃいました。もうそろそろ来るかなって、ちょっと外にいました」

すぐに会いたくて、照れながら俯いて話す彼女が可愛くて、もうちょっと早めに会えばよかったなってちょっと後悔。

「今度からは俺が電話してから出てきてね、風邪引くと困るし」
「そうします。張り切りすぎちゃった」

えへへっと笑いながらイルミネーション楽しみだなぁと俺の顔を見た。

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