生意気な恋人とおでかけ ２ ページ42
「…ほんまに入るの？」
「入るで！」
にこにこと太陽のような明るい笑顔を見せる彼。
それとは裏腹に私の表情はきっと曇り空のように暗いだろう。
目の前にあるのは誰がどう見てもおばけ屋敷で、中からは女性のみならず男性の叫び声も聞こえてくる。
「ちょっと、また酔いがまわってきて…」
「俺おったら治るんやろ？」
う、と思わず言葉に詰まる。
自分が言った言葉がこんな所で返ってくるなんて。
先ほど合流した親に助けを求めようとするも、姿が見当たらない。
「2人なら先行ったで」
「あ、そうですか…」
仲が良くて越したことは無いが、今だけは少し恨んでしまう。
お願い、と両手を合わせてこちらを見つめてくる彼を見ていたら断れる訳がない。
「…わかった、けど…」
「けど…？」
「中では手、繋いでてくれる…？」
そう言えば少し驚いたように目を見開いてから、顔を逸らして頬を桃色に染める彼。
そっと差し出された手を握れば、彼の横顔は少し嬉しそうだった。
自分の番になって入ってみれば思った以上に暗く、思わず彼の手を握る力が強くなる。
心臓がうるさいのは恐怖からか、それとも緊張からかだろうか。
自分ではすぐに理解することができなかった。
しかしその心臓の音もすぐにかき消された。
冷たい風が流れ込んできたと思うと目の前に髪の長い女の人が血を流して、天井裏からこちらを見つめていたのだ。
髪の隙間から見える口元はニヤリと弧を描いていた。
叫ぶほど怖いってどれくらいなんだろう、と思ってたけどあれだ。
私の場合、怖すぎて声も出ない。
「こんなんつくりものなんやからそんな怖がることないて」
「…」
「A？聞いとん？」
「…む、り……やだ……」
突然泣き出す私に驚いたように目を見開く彼。
流石に茶化すのをやめて慌てて涙を拭ってくれた。
「ご、ごめん…俺が悪かったから…」
「こわいよぉ…」
「ご、ごめんて…」
何故か連れてきたチーノくんまでもが申し訳なさから泣きそうになっていた。
落ち着いてからあれはレアものだったなぁ、なんて。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
リクエストありがとうございました！
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芽樹。(プロフ) - 「かぎかっこ」さん» ありがとうございます。｢かぎかっこ｣さんのコメントが嬉しくてこちらまでにこにこしてしまいます。こちらこそいつも癒しをありがとうございます。ゆっくりではありますが、お待ちいただけたら幸いです。 (2019年9月20日 1時) (
レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - 完結おめでとうございます。お疲れ様でした！最初から最後まで2人が可愛くてずっとニコニコしながら読ませて頂きました。癒しをありがとうございます！次作も楽しみに待っておりますので、芽樹。さんのペースで頑張って下さい。応援しております。 (2019年9月19日 15時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - まうるさん» コメントありがとうございます。ciくん沼へいらっしゃいませ！これからもciくんの魅力を伝えられるように頑張ります！ (2019年8月29日 7時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
まうる - ciくん沼にハマってしまいましたわ.....ありがとうございます (2019年8月29日 2時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - ソルティングさん» いえいえそんな！改めてリクエストありがとうございました。励みの言葉とても嬉しいです…！頑張ります！ (2019年7月15日 5時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芽樹。 | 作成日時：2019年6月10日 20時
