【d!】余命１週間【zm】

あと4日 ページ15

「もう朝の7時かぁ…」
「ん、帰るん？」
「さすがにそろそろ…。寝てないから眠いですし…」
「Aめっちゃ赤ちゃんみたいにうとうとしてんな」
「うるさいです〜」

ふわぁ、と小さく欠伸をしてからお手洗いだけ行ってくるので待っててください、覗いちゃだめですよ！と念を押せばはいはい、と適当に返事をして残っていたパフェを平らげる彼。
どこからそんな食欲が湧いてくるのか謎に思いながらもメイクルームに向かった。
帰るだけだとはいえ、さすがに仕事に向かう人も多いだろうし直してしまいたかったから。

「…やっぱり似合ってないですよ」

違和感のある唇に思わず笑ってしまう。
男の人のセンスってあてにならないのかもなぁ、なんて思ったりして。
メイクをさっと直してからお会計をして外に出れば、久しぶりの直に浴びる朝日がとても気持ちよくて。
思わず立ち止まっていると後ろからとん、と軽く誰かがぶつかってきた。

「こら、ゆうき！すみません。怪我はありませんか？」
「わ〜ごめんなさいっ」
「いえいえ、大丈夫です。こちらこそすみませんでした」

小さく頭を下げてからゆうき、と呼ばれた子の親であろう人の顔を見れば思わず唾を呑み込む。

「ゆうき、保育園遅れるから行こうか」
「はーい！」
「…そのリップ、似合ってますね」
「っ…ありがとう、ございます」

神様、本当にありがとうございます。
幸せそうで本当によかった。

私の好きで好きでたまらなかったあの人が幸せになれて、本当によかった。

「…あなたに出会えてよかった」

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