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次の朝。
寝不足な私はフラフラと308号室へ向かっていた。
ベッドに重岡くんはいなかった。
昨日は幻だったのか、そう思い戻ろうとしたその時。
「Aちゃん、?」
幻じゃなかった。
ちゃんと車椅子に乗った重岡くんはそこにいて。
「…重岡くっ…消えたかと思ったのッ」
幻かと思った。
濱田さんのように儚い。
心に傷を負って、それでも気づかれないようにすると思ってたの。
「…俺は、消えへん。」
「そう言ったってッ…!」
『あれ、…しげ?』
後ろの半開きのドアから入ってきた重岡くんの事を「しげ」と呼ぶ男の人。
『……え、あ、すんません…』
その男の人はベッドのカーテンをシャッ!と勢い良く閉めてしまった。
「…Aちゃん、おいで。」
「…えっ、わっ…」
重岡くんに腕を引かれ重岡くんは私を抱きしめた。
ギュウ、と力強く。
「いつでも来ぃや。待っとる。なあ神ちゃん!」
カーテンの奥に重岡くんが語りかけると、神ちゃん、と呼ばれた人は「うん」と小さくカーテンの奥から呟いていた。
「そろそろ行くね。」
「おん。ばいばい。」
、
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作者名:奈利子 x他1人 | 作成日時:2018年10月7日 0時